縦断きょう1週間 阿武隈川、全域浸水 台風19号、流れに沿い北上

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 記録的な大雨となった台風19号で、福島県と宮城県にまたがる阿武隈川(流路延長239キロ)沿いがほぼ全域で浸水していたことが毎日新聞の取材で判明した。阿武隈川の水位が上がったため、合流を遮られた支流の水位が上がる「バックウオーター現象」も各地で続発。阿武隈川とその支流計41カ所で堤防の決壊を引き起こしたとみられる。専門家によると、1級河川のほぼ全域で浸水が起きるのは異例だ。【奥山はるな、安藤いく子】

 福島、宮城両県では、今回の台風による死者の約6割を占める45人が亡くなった。阿武隈川の氾濫が東北での被害集中を招いた。

 阿武隈川は福島県南部の山中から宮城県の太平洋に注ぐ1級河川。全国でも6番目に長い大河川だ。上流は県や市町村、中流と下流は国が管理している。台風上陸の翌13日に阿武隈川沿いの浸水状況をヘリコプターで上空から撮影した国土交通省に調査結果を尋ね、河川管理者の県や市町村に浸水状況を確認したところ、上流から下流までほぼ全域で浸水していたことが明らかになった。国交省によると、国管理部分では支流を含めて約1万2600ヘクタールが水につかった。国交省国土技術政策総合研究所の板垣修・水害研究室長は「1947年のカスリーン台風で利根川が氾濫し、中流の埼玉県から下流の東京都まで浸水したことはあったが、治水対策が取られている近年で上流から下流まで浸水したのは珍しい」と語る。

 全域で浸水が起きた理由として、阿武隈川の流れる方向と台風の進行方向が同じだったことが挙げられる。阿武隈川は南から北へ向かって流れるが、台風も川に沿う形で同じ方角へ移動した。川の水位は上流から上昇し、時間差をおいて下流でも上昇する。今回、下流では台風による大雨と上流からの増水が重なって各地で水位が高い状態が長く続き、氾濫を引き起こしたとみられる。阿武隈川では福島県の7カ所で堤防が決壊した。

 本流である阿武隈川の増水は支流にも影響した。本流と支流の合流地点では、水位が上がった阿武隈川に合流できなくなった支流の水位も上昇。堤防が支えきれずに16河川の34カ所で決壊したほか、各地で氾濫が発生した。

 福島大の横尾善之准教授(流域水文学)は「南から北へと向かう川の流れに沿って過去最大の雨量が降り注ぎ、水位のピーク状態が続いてしまった」と指摘した。

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