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多摩川のホームレス 都内唯一の死者に 救えなかったか

男性の遺体が見つかった多摩川左岸の河川敷周辺=国立市で2019年10月17日、安達恒太郎撮影

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 台風19号通過後の14日、東京都日野市の多摩川河川敷で路上生活者とみられる男性の遺体が見つかった。18日現在、今回の台風災害で都内唯一の死者とみられる。同市や日野署はこの男性とみられる人を含めて河川敷で生活する人の存在を把握していたという。救いの手は届かなかったのか。

 日野署によると、14日午後、日野市日野の河川敷で通行人の男性から「男の人が木に引っかかっている」と110番通報があった。署員が駆け付けると、中州の木に体が引っかかっている状態の男性が見つかり、その場で死亡が確認された。

 ズボンをはいていたが上半身裸で、身元の分かる所持品はなかった。同署は市、国土交通省京浜河川事務所(横浜市)と共同で7月に河川敷周辺の路上生活者を調査、その際に確認した70代の男性とひげや容姿が似ていたという。目立った外傷はなく、解剖の結果、溺死と分かった。12日午後以降に増水した川に流されたとみられる。

 河川事務所は9、10の両日、多摩川河川敷を回り路上生活者に増水が予想されるので川の外に出るように呼びかけるビラを配ったという。市は防災無線で避難を呼びかけていたと説明する。

 立川市で路上生活者を支援するNPO法人「さんきゅうハウス」の大沢豊理事長は「穏やかで、知識豊富な人だった。いつも中州にいたので、逃げようとした時には増水していたのかもしれない。台風前に避難を呼びかけていたら」と悔やむ。

 路上生活者に食料を届ける活動をしている有賀精一・日野市議によると、男性は数年前から河川敷で生活し、3年ほど前に増水した時に流されたことがあると話していたという。「知的好奇心が高く、顔を合わせる度に選挙や社会問題について尋ねられた」と振り返る。今月4日に訪ねた際も元気そうな様子で、いつも通り世間話をして別れたという。

 生活困窮者支援に詳しい稲葉剛・立教大大学院特任准教授は「日野市の状況が分からないが、男性の存在を把握していたはずで、台風が来る前に声を掛けていればよかった。本来、生活保護などの公的支援につなげるべき対象であり、行政には時間をかけた継続的な関わりが求められる」と話す。【安達恒太郎、和田浩明】

和田浩明

1991年4月入社。英文毎日編集部、サイバー編集部、外信部、大阪社会部を経て2003年10月から08年3月までワシントン特派員。無差別発砲事件、インド洋大津波、イラク駐留米軍や大統領選挙を取材。09年4月からはカイロに勤務し、11年1月に始まった中東の民主化要求運動「アラブの春」をチュニジア、エジプト、リビア、シリア、イエメンで目撃した。東京での中東、米州担当デスク、2度目のワシントン特派員などを経て2019年5月から統合デジタル取材センター。日本社会と外国人住民やLGBTなどの今後に関心がある。

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