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社説

広がる散骨への対応 ルールのあり方考えたい

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 人が亡くなった後、墓に埋葬せずに遺骨を海や山にまく「散骨」が広がっている。「自然に返りたい」と望む人が増えているようだ。

     1991年、NPO法人「葬送の自由をすすめる会」が神奈川県沖で行い、知られるようになった。44社が加盟する業界団体「日本海洋散骨協会」によると、正確な統計はないが、業者の数、依頼の件数ともに年々多くなっている。

     墓を引き継ぐ者がいなかったり、墓の維持で子供に迷惑をかけたくないと考えたりする人も散骨を選択しているという。費用は比較的安い。

     だが、散骨方法の明確なルールはない。かつては業者と住民とのトラブルが続いた。北海道長沼町では散骨用の公園を整備する計画について、農産物への風評被害などを心配した住民が反対した。町は2005年に条例を作って散骨を禁止した。

     その後、埼玉県秩父市や静岡県熱海市など各地で散骨を事実上規制する条例ができた。

     そもそも、墓地への埋葬を想定した現行法に、散骨に関する規定はない。刑法の遺骨遺棄罪に当たるとの指摘もあったが、法務省は「節度をもって行われる限り違反しない」との見解を示した。

     日本海洋散骨協会は14年にガイドラインを作った。散骨の場所は陸から1カイリ(約1・8キロ)以上離れた洋上で、人骨と分からないように遺骨は1~2ミリ程度に砕くことなどを定めている。だが、協会に加盟していない業者には適用されない。

     遺族から遺骨を郵送で受け取り、遺族の立ち会いもなく散骨を代行したり、遺骨を粉砕せずにまいたりする業者もいるという。葬送の形とは言い難いのではないか。

     業界内にも規制を求める声はある。何らかのルールは必要だろう。しかし規制を強化するばかりでは、亡くなった人の生前の「自由意思」を損ないかねない。

     葬送の自由をすすめる会は公共の福祉に反しないことを前提に海や山への散骨を「自然葬」と位置づけ、個人の基本的な権利として認める法律の制定を目指している。

     死生観や家族観の変化に伴い、葬送をめぐる意識も変わってきた。「節度」と「自由」の両面から、望ましいルールのあり方を考えたい。

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