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エンタメノート

「寝起きのジュリー」25年、桂三若さん、22日に東京・町屋で独演会

桂三若さん=東京都新宿区で2019年10月、油井雅和撮影

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 東京・町屋は、今では少なくなった下町の雰囲気が残る街。東京メトロ千代田線、京成線、そして都電荒川線が交差し、都心からも便利で、そしてなにより飲み屋も多い。

     そんな「東京の中の東京」で、休日だが即位パレードが延期になった22日午後、三遊亭好楽さんをゲストに招き25周年記念の落語会を開くのは桂三若(さんじゃく)さん。師匠は桂文枝さんで、若い頃はよく「寝起きのジュリーです」で笑いを取った。東京に拠点を移して5年になる。三若さんに聞いた。【油井雅和】

     ――1994(平成6)年入門組は上方では多いですね。

     ◆そうなんです。僕の前後は同期が2~3人、1人とかっていうのもあるのに、急にいてるんです。たまたまなんですが。僕と(桂)春蝶は4月なんですけど、すぐに(弟弟子の桂)三金が入ってきたし。(桂)かい枝、(桂)吉弥とか。一人も辞めてないですね。

     ――まだ天満天神繁昌亭もできる前ですね。

     ◆はい。上方落語協会の会長は、露の五郎兵衛師匠でした。(桂)米朝師匠、(五代目桂)文枝師匠、(三代目桂)春団治師匠もお元気で。入った時はまだ、上方は落語よりテレビタレントがもてはやされるというイメージでしたし、落語の仕事はほとんどありませんでした。うちの師匠も、三枝(の名)でバリバリやってた頃で、独演会を毎月開いていましたが、テレビ、イベントに忙しかった頃ですね。まだ繁昌亭がなかったので、喫茶店とかバーとかで落語してました。

     ――文枝師匠のお若い頃と一緒ですね。ところで、2007年に1年かけて「バイクで日本一周」に挑んだのは落語家としての転機だったのでは。

     ◆「全国落語武者修行ツアー」として、各地で飛び込みで、約500公演やりました。そして、落語さえできたら全国どこでも飯が食える、落語というコンテンツは力のあるコンテンツだと改めて思いました。

     そのあと、結婚、離婚を経て、(所属の)吉本(興業)の「住みます芸人」で秋田へ行きました。全く知らないところで。アパートから毎日、ネット生配信をしたんですが、壁が薄くてね、隣のおっさんからずっとお経読んでるとかクレームついて。

     でも、それが「ケガの功名」で、違うマンションを借りて、それだけではもったいないと1階の空き店舗を劇場にしたんです。自分の名前から「SJK劇場」と名付けて、定員20人。今年閉鎖するまで続きました。

     もうなんでも全部1人でやらないといけなくて。正直、秋田行った頃は最初、仕事なかったんですよ、でも、だんだんと秋田の人が応援してくれて、最終的には秋田県から宣伝してほしいと仕事の依頼が来るようになりました。

     ――今でこそハードルが低くなったとはいえ、落語を聴いたことがない方に落語を広めて笑ってもらうまで、大変だったと思いますが。

     ◆最初に空気を作ることが大切ですね。おっ、これはアカンぞ、という空気の回ってありますから。僕はどっちかといえば楽天的で、終わった後は、ナーバスになります。自分の中で点数を高く設定してるので、自分で納得できないことも多いですね。思い通りのお客さんの反応がくるという舞台は年に何回もないですね。

     ――東京を拠点に、関西、秋田、そして全国と、ホームページのスケジュールを拝見すると、まさに全国を飛び回っていますね。東京を本拠地にして、どう落語が変わりましたか。

     ◆秋田から東京に来るまでは、落語で笑かさんでええ、というのを知らなかった。もちろんそういうの(人情噺<ばなし>)があるのは知ってたけれど、そんなのをやる人の気が知れなかったんです。

     ですが、東京で「笑かさんでええんや」という噺をいっぱい覚えました。ええ噺やな、と。大阪の落語はみんな笑かすんですが、そんな時は、東京で仕入れた、そんなにおもしろないけど珍しい噺をやってみたり。「蛙(かわず)茶番」とか、「柳田格之進」とか、「心眼」とか、東京に来てなかったら絶対やってなかったでしょうね。

     「藁(わら)人形」は(今回の独演会のゲスト、三遊亭)好楽師匠に教わったんです。ホントに優しい方ですよね。好楽師匠の芸が好きなんです。江戸の粋の感じが伝わるんです。

     うちの師匠も「無理に笑かす必要ないねん。それならさわやかにやれ」とよく言われましたが、それを体現されているのが好楽師匠。粋な感じで、終わったら早く飲もうよみたいな空気が大好きなんです。

     ――これからの自分の方向は、どちらを向いていかれるのでしょうか。

     ◆大阪にずっといたらできなかった噺、「文七元結」とか「小間物屋政談」といった染みる噺に。大阪らしい、三若らしいなという笑いは入れたいし、噺がつぶれない程度で古典落語は勝負したい。新作は実験的なものも含めてどんどん作りたいですね。独演会も、3席のうち1席は「おっ」と思うような新作をかけます。最後は、東京の人情噺を、笑えるようにしてみたいなと思ってます。

        ■

     噺家生活25周年記念・桂三若東京独演会は22日(祝)午後1時、東京・町屋のムーブ町屋・ムーブホール。ゲストは三遊亭好楽。詳しくはhttp://sanjaku.net/

    油井雅和

    東京生まれ。東京、大阪で、大衆芸能、笑芸、放送などを取材し、芸術選奨選考審査員、文化庁芸術祭審査委員などを務めた。沖縄好きで学生時代から通い、泡盛は糖質ゼロなので大好き。

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