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社説

英国のEU離脱 確実に「合意なき」回避を

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 経済活動や市民生活に重大な影響を与える「合意なき離脱」を回避するため、英国は一日も早い混迷収拾に全力を挙げるべきだ。

 英下院は、ジョンソン首相が欧州連合(EU)と合意した新たな離脱協定案の採決先送りを決めた。これを受け首相は今月末の離脱期限の延期を求める書簡をEUに送った。

 EUは新協定案の速やかな承認を見込んでいた。だが、関連国内法の整備を前提条件とする動議が可決され、承認が持ち越された。先行きが見通せなくなったことを案じる。

 離脱を巡る混乱は2016年6月の国民投票から3年以上に及ぶ。メイ前政権下では議会が旧協定案を3度も否決し、身動きが取れない状態が続いた。英国政治の迷走がさらに長引くのは好ましくない。

 新協定案の焦点はEU加盟国アイルランドと地続きの英領北アイルランドの扱いだ。物理的な国境を設けない一方、通関手続きなどのEUルールを北アイルランドに対してだけ特別に適用することで歩み寄った。

 合意成立の背景には、離脱問題を早期に決着させたい英政府とEUの利害の一致がある。マクロン仏大統領は「これ以上の離脱延期は誰の利益にもならない」と主張する。

 ジョンソン氏は「合意なき離脱」も辞さない構えで、「決められない政治」に終止符を打とうとした。だが、強硬姿勢で議会との信頼関係を損ねたツケが回った側面もある。

 今夏には議会閉会で「反対派封じ」の措置を取った。新協定案についても北アイルランドの地域政党に「賛成か『合意なき離脱』か」の二者択一を迫るなど性急さが目立つ。

 野党主導で成立した法律に基づきEUに送った書簡に署名せず、「延期は英EUの利益と関係を害する」との反論親書を添付した。野党が反発し法廷闘争となる恐れもある。

 時間切れで「合意なき離脱」となれば、影響は英国だけでなくEUや世界の経済にも及ぶ。ジョンソン氏と議会は確執を乗り越え、EUとの協定に沿った「秩序ある離脱」の実現に向けて知恵を出し合う時だ。

 「自国第一主義」の広がりと、米中の覇権争いで国際社会が不安定化している。英国は離脱を巡る混乱を最小限に食い止めるべきだ。これ以上、世界を振り回してはならない。

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