台風19号 「このつながり、第一歩に」 ボランティアが泥かき、片付け 県立大学生ら汗流す 田野畑 /岩手

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早野良作さん方で床下にたまった泥をかき出す県立大の学生ら=岩手県田野畑村島越で 拡大
早野良作さん方で床下にたまった泥をかき出す県立大の学生ら=岩手県田野畑村島越で
泥や家財道具が片付けられ「これでぐっすり眠れる」と笑顔で話す(前列右から)早野良作さん、兆子さん、真優さん=岩手県田野畑村島越で 拡大
泥や家財道具が片付けられ「これでぐっすり眠れる」と笑顔で話す(前列右から)早野良作さん、兆子さん、真優さん=岩手県田野畑村島越で

 台風19号の豪雨で多くの浸水被害が出た県内沿岸各地で、社会福祉協議会などによる災害ボランティアの受け入れが本格化している。先週末には県内外からのボランティアが泥かきや家財の運搬などを手伝った。ボランティアセンターが開設されたばかりの田野畑村で20日、県立大の学生らと活動を共にした。【中尾卓英】

 三陸鉄道の島越駅前に20日午前9時、村内外から51人が駆けつけた。村の住宅や事業所の被害は沿岸の明戸、羅賀地区などで50棟に上る。村社協が18日開設した同センターには片付けの依頼があり、長袖、長ズボンにゴム手袋、防じんマスク姿の県立大生11人が車で島越地区に向かった。

 早野良作さん(79)は妻兆子さん(73)と保育士の孫真優さん(26)の3人暮らし。12日夕から親類宅に避難し豪雨が収まった13日午後、帰宅すると、集落は島の沢川からあふれた水位50~60センチの泥水につかっていた。この日は、盛岡市などの子どもと孫ら家族11人が後片付けをした。

 「体調はいかがですか」。東日本大震災の津波から率先避難した釜石東中出身の社会福祉学部4年、前川美里さん(21)は兆子さんに声をかけた。「あの日から眠れないんだ。心配で、心配で……」と兆子さんは表情を曇らせた。「ここに嫁いで50年。子育てをしながら土木作業にも出て、家を守ってきた。こんな目に遭うなんて」と肩を落とした。

 前川さんは同大看護学部4年の川原千晶さん(21)らと昨夏、西日本豪雨で被害が出た広島県三原市でボランティアを経験。今月は釜石、宮古市でも活動した。「鵜住居で津波に遭ったのは中学1年の時。各家庭で被災状況が異なり、隣近所で愚痴を言い合える状況ではなかった。第三者が寄り添うことで、気持ちをはき出してもらえたら」と語った。

 3年前の台風10号で被害のあった岩泉町などで活動経験のある菊池真悠子さん(19)らと、座敷や茶の間の床下の泥をスコップなどでかき出した。「ニュースでは分からない被災した人たちの苦しみと、マンパワーの大切さが分かる。このつながりを第一歩にしたい」。土のう袋が次々と積み上がった。

 良作さんがウニ、コンブ漁などにも使う作業小屋にも泥がたまっていた。「初めてこんなに大きな被害を受けた」。ボランティア初体験の村山健介さん(19)らが、畳や家財道具を運び出した。

 学生たちは午後3時まで汗を流した。兆子さんらは「これで安心して眠れます」「次は山海の幸たっぷりの『お煮しめ』を食べに来てね」と、うれし涙が笑顔に変わった。

 学生たちが所属するボランティアサークルは16年の台風10号を機に、岩手大、盛岡大と共同で「いわて学生ボランティアネットワーク」を設立した。サークル代表で、県立大大学院総合政策研究科1年、川原直也さん(23)は「被災者にはお年寄りが多く、交通手段を失った人も多い。冬を前に、マンパワーときめ細かな支援が必要」と話し、他大学の学生とも協議して支援を継続する考えだ。

自治体、マンパワー募る

 台風19号で被災した沿岸部では、災害ボランティアセンターが開設されている。ボランティアが不足している自治体もあり、積極的に募集している。

 久慈市災害ボランティアセンターには、長内地区を中心に泥出しや家財の移動、ごみの分別といった要望が寄せられている。県のまとめによると、20日午後1時現在で、市内の住宅被害は床上浸水235棟、床下浸水416棟、半壊は235棟に上る。同日までの4日間で計582人のボランティアが活動したが、その多くが地元の中学生たちだ。約50件のニーズに対応できておらず、同センターは「生徒たちには本当に感謝している。広範囲の災害のため、久慈までボランティアが来られないのでは」と話す。

 降水量が467ミリと県内最多だった普代村は、中心部の民家で泥出しの作業が続いている。同村のボランティアセンターは「ほとんどの場合、床板を外して泥を出すが、大工など経験者でないと床板を傷つけてしまう。特殊な作業なので割り振りが難しい」と打ち明ける。被災地を支援する「いわてNPO災害支援ネットワーク」は「県北沿岸を中心にボランティアが足りていない印象だ。被害の少なかった内陸や地元の方に協力をお願いしたい。青森や秋田にも応援を求められれば」と話していた。【藤井朋子】


沿岸各地の災害ボランティアセンター

久慈  0194・54・8006

野田  0194・71・1414

普代  0194・35・2100

岩泉  0194・22・3400

田野畑 0194・33・3025

宮古  090・1069・0461

山田  080・5743・2679

釜石  080・5737・2952

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