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社説

中東へ海自派遣検討 一層の外交努力が必要だ

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 対立する米国とイランの間で外交努力を続けてきた日本として、双方の理解が得られるギリギリの落としどころと判断したのだろう。

 安倍晋三首相が中東のオマーン沖に海上自衛隊を派遣する具体策の検討を指示した。年明けに護衛艦1隻が派遣される見通しだ。海賊対処法に基づきソマリア沖で活動する哨戒機の活用も検討されている。

 日本は米国から、ホルムズ海峡周辺の航行の安全を確保する「海洋安全保障イニシアチブ」(有志連合)への参加を求められていた。だがそれは、イラン側には軍事的な対イラン包囲網への参加と映る。

 一方で首相は日本とイランの歴史的な友好関係を重視し、要人との会談を重ねてきた。これまでの外交努力を無駄にしてはならない。

 そのため政府は、有志連合には参加せず、ホルムズ海峡やペルシャ湾は活動範囲に含めない方針を決めた。ただし、自衛隊が収集した情報は米国に提供することになる。

 問題は派遣の法的根拠だ。防衛省設置法の「調査・研究」として情報収集活動を行うというが、派遣中にタンカーや商船が何者かに襲われるケースも起こり得る。

 6月にホルムズ海峡付近で日本企業の所有するタンカーが攻撃されたこともあり、自衛隊法の「海上警備行動」を発令して自国の船舶を護衛する案も検討されてきた。

 その後の情勢が比較的沈静化していることから、とりあえず情報収集目的で派遣しておいて、再び緊迫すれば改めて海上警備行動を発令することも検討しているようだ。

 2001年米同時多発テロの際、まず調査・研究でインド洋に艦船を派遣し、特別措置法に基づく給油活動に切り替えた例もある。東シナ海など日本周辺海域では調査・研究名目の警戒監視が常態化している。

 とはいえ、紛争の多発する中東地域への派遣根拠が調査・研究というのは、いかにもその場しのぎではないか。自衛隊が武力紛争に巻き込まれる危険性や、緊急時の武器使用のあり方などの議論が必要だ。

 石油輸入の9割近くを中東に依存する日本として、航行の安全に主体的な役割を果たすべきだ。しかし、主軸は軍事より外交であり、そこに一層の努力を傾けるときだ。

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