メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

私の体はテレビでできている

特殊詐欺の深い根と闇を描く

 <教授・岡室美奈子の私の体はテレビでできている>

 7月期のドラマを振り返ると、同じテーマを扱った2本のドラマが目につく。いわゆる「振り込め詐欺」などの特殊詐欺を題材とした「スカム」(MBS、TBSなど)と「サギデカ」(NHK)である。特殊詐欺は、3月に放送されたNHKスペシャル「詐欺の子」でも取り上げられたテーマだ。「人間のクズ」という意味を持つ言葉をタイトルとした「スカム」は詐欺を働く側の視点から、「サギデカ」はタイトル通り詐欺を摘発する警察の視点から描いている。視点は逆だが、両者とも単純な勧善懲悪の物語ではなく、若者たちがいかに富裕層の老人を憎んで犯罪に駆り立てられていくかを描き、格差と不平等が蔓延(まんえん)する社会構造に切り込んでいて見応えがあった。

 「スカム」でせつなかったのは、リーマン・ショックのあおりを受けた大手企業の「新卒切り」に遭った主人公、誠実(杉野遥亮)が自らの才覚で詐欺グループの「店長」にのし上がってゆくさまが、表の社会ではかなわなかった自己実現に見えたことだ。しかし、砂上の楼閣のような自己実現はやがて破綻し、誠実は逮捕される。その時、誠実は老人から奪ったのはお金だけではなく、尊厳でもあったという事実を刑事から突きつけられる。

この記事は有料記事です。

残り339文字(全文873文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 大人気、耳にかけないマスク 「小耳症」の人にも 誰もが当たり前に着けられるように

  2. 三菱重工広島が初回に2点先制 松永、松原が連続適時二塁打 都市対抗

  3. 「ホテルの明細書あれば1000万%アウト」 桜前夜祭の野党ヒアリング詳報

  4. トヨタ東富士工場閉鎖 OBから惜しむ声「あんなにいい場所なのに…」

  5. 桜を見る会「前夜祭」そもそも何が問題だったのか? 捜査の行方は?

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです