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社説

陛下の即位の礼 多様性尊ぶ国民の象徴に

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 天皇陛下が即位を宣言される「即位礼正殿(せいでん)の儀」がきのう行われた。皇居での式典に国内外から約2000人が参列し、即位を祝福した。

 象徴天皇制となった現憲法下での即位は上皇さまに続いて2人目で、戦後世代としては初めてだ。

 陛下はおことばで、上皇さまについて「いかなる時も国民と苦楽を共にされながら、その御心(みこころ)を御自身のお姿でお示しになってきた」と言及された。その姿に改めて深く思いを致すと述べた。

 戦場となった沖縄や大災害の被災地をはじめ全国を訪れ、国民の中に分け入った上皇さまのように「国民に寄り添いながら」象徴の役割を行動で果たそうとの思いがにじむ。

 陛下は5月の「即位後朝見の儀」で、憲法を重視する姿勢を明らかにし、8月の全国戦没者追悼式でも上皇さまの「深い反省」との表現を踏襲した。昭和の「負の遺産」と向き合い、憲法下の象徴像を模索した歩みを引き継ぐお気持ちの表れだ。

 台風19号の被災地への配慮からパレードが延期されたのも、上皇さまの時代に定着した、国民に寄り添う皇室像と重なる。

 どんな象徴像、皇室像を目指すのかは、海外からも注目される。政治と一線を画し、多くの国と友好関係を築いてきた「皇室外交」の意義は大きい。

 陛下は皇太子になる前、イギリスに留学し、海外の空気に触れた。外交官出身の皇后雅子さまと共に国際経験を生かし、諸外国との交流に一層力を尽くすと思われる。

 国内では令和の「国民統合の象徴」のあり方が問われる。「1億総中流」の時代はとうに終わり、かつてのような国民の一体感は見えない。政府は外国人労働者の受け入れを拡大し、国内でもグローバル化が進む。

 陛下は平成の時代を「人々の生活様式や価値観が多様化した」と振り返り、「多様性と寛容の精神」が大切だと述べていた。こうした新しい時代感覚を基にした象徴像が生まれるのかもしれない。

 即位の儀式をめぐっては、宗教色を伴うとして憲法の政教分離原則との整合性を問う声もある。政府が十分な議論を避け、合計わずか1時間あまりの会合で前例踏襲を決めたことには問題が残った。

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