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有名銘柄もピンチ 福島の酒、仕込みに影響 台風19号で郡山の精米工場が浸水

阿武隈川が増水して浸水被害を受けた精米工場=福島県郡山市の郡山中央工業団地で2019年10月20日午後4時5分、湯浅聖一撮影

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 福島県内の大半の酒蔵に酒米を供給している郡山市の精米工場が台風19号によって浸水し、ピークが迫っている新酒の仕込み作業に影響を及ぼしている。県酒造協同組合(福島市)や各酒蔵は、代替の酒米や精米施設の確保に奔走。全国新酒鑑評会の金賞受賞数7年連続「日本一」を誇り、酒どころとして知られる県内の酒造関係者は、不安の色を強めている。【湯浅聖一】

 被災したのは郡山市道場の郡山中央工業団地内にあるTOHOピクス郡山工場。近くを流れる阿武隈川が氾濫して工場などが約1.5メートルの高さまで浸水し、精米機が使えなくなった。

 精米は酒造りの最初の工程で、どの程度まで米を削るかで味や香りのバランスに影響を与える。県酒造協同組合によると、同工場には県内の酒蔵の約8割が組合を通じて精米を委託し、県内産酒米の半分以上を扱っており、打撃は大きい。

 また、浸水によって工場内に搬入されていた県産の酒米「夢の香」や「五百万石」も水につかった。復旧の見通しは立っておらず、阿部淳専務理事は「現在は県外の精米施設を探している。酒米の供給が遅くなるかもしれないが、11月にピークを迎える仕込みに影響が出ないように努力したい」と話した。

 多くの酒蔵が集まる会津地方の会津若松酒造協同組合(会津若松市)も、年間約192トンの地元の酒米を同工場で精米し、酒蔵に供給している。しかし、工場の被災を受けて15日に予定していた新米約20トン分の搬出を中止した。岩沢庄司専務理事は「工場と酒蔵が直接契約している分もあり、酒蔵への影響は大きい。1月には大吟醸酒の仕込みが本格化する。それまでに何とかなれば」と祈った。

精米工場の浸水で、酒米が届かない酒蔵=福島県会津若松市の鶴乃江酒造で2019年10月18日午後4時57分、湯浅聖一撮影

酒蔵困惑「まさか米が届かないとは」

 台風19号による直接の被害は少なかった福島県会津地方だが、特産の日本酒造りへの影響は大きい。郡山市の精米工場が浸水したことで、酒蔵は作業時期の変更や計画の見直しに追われている。

 200年以上の歴史がある老舗で、「会津中将」を造る鶴乃江酒造(会津若松市)は、精米を依頼した同工場から16日と18日に入荷予定だった酒米「五百万石」約19.5トンが水没したと連絡を受けた。仕込み始めのため蔵の在庫は現在ゼロで、通常なら始めているはずの仕込みに取りかかれないでいる。統括部長の向井洋年さん(47)は「まさか米が届かないとは思わなかった。想定外だ」と話す。

 向井さんが知り合いを頼り、地元の農家から同じ酒米を何とか調達。精米も被災した工場が別の精米施設を手配してくれ、25日には入荷できるめどが立った。「最悪で11月の入荷も覚悟した。汗を流してくれた関係者のお陰」と感謝した。

 忘年会シーズンの12月は、日本酒の需要が1年で最も高まる。「この時期に新酒の出荷ができないと、私たちのような小さい酒蔵には死活問題」。鶴乃江酒造では仕込みの量を減らすなどして、作業工程を短縮。瓶詰めやラベル貼りを全社員で担当して遅れた分を取り戻し、12月中旬には出荷する考えだ。

 「品質を落とさずに供給するにはギリギリのスケジュール。最小限の被害で済むのでは」。向井さんは少し落ちついた表情をみせた。

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