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詩の橋を渡って

鬱血するように滞る真実=和合亮一(詩人)

詩人の和合亮一さん=望月亮一撮影

10月

夜の街灯がゆらゆらしている

芯が少しずつずれてゆく夜だった

呑み込まれる夜だった

ぶら下がっている月 吊られている星々

鬱血している 川も言葉も

 三連休を襲った秋の台風。強い雨と風の音にさいなまれながら不安な夜を過ごした。東日本大震災の日々がフラッシュバックしてくるような感覚。再び自然の脅威にさらされてしまったという感じに耐えられなくなった。川が氾濫した。風が過ぎ去ると水に閉じ込められたなじみの町や家の風景が残された。通常の仕事もすぐには再開できない見通しの中で、昼間は復旧作業をし、夜は心の頼りを探すようにして新しい詩集の数々を開いた。

 田尻英秋の『こよりの星』(書肆 子午線)に心惹(ひ)かれた。都会で生活している者の孤独感がひりひりと伝わってくる印象があった。いや都市生活に限ったことではないのかもしれない。現代社会で暮らすことの息苦しさや行き場のなさ、心の向けどころのなさがまず伝わってきた。日々の気忙(きぜわ)しさの中でしだいに言葉を失ってしまい、もはや沈黙せざるを得ない。それでも声を絞り出そうとしている詩人の姿が見えた気がし…

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