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ハラスメント

「企業に言い訳を許す」 厚労省のパワハラ防止指針に「該当しない例」、批判相次ぐ

パワハラ防止は重要な課題になっている=ゲッティ

 企業にパワーハラスメント(パワハラ)防止を義務づけるパワハラ関連法成立を受け、パワハラとは何かをより具体的に定める指針の素案を厚生労働省が明らかにした。しかし、この指針案は「パワハラに該当しない例」も挙げるなどしており、「企業側が責任を逃れる言い訳として利用されかねない」と、労働者側が相次いで批判の声明を発表している。問題点を整理した。【中川聡子/統合デジタル取材センター】

 指針の素案は21日、厚労相の諮問機関である労働政策審議会に示された。

 厚労省は、パワハラを①暴行・傷害②脅迫・名誉毀損(きそん)・侮辱・ひどい暴言③隔離・仲間外し・無視④業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害⑤業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと⑥私的なことに過度に立ち入ること――に分類している。

 指針案では、この6類型ごとに「該当すると考えられる例」と「該当しないと考えられる例」を挙げている。

 該当する例としては「人格を否定する発言をすること」「同僚が集団で無視し、孤立させること」などが示されているが、労働者側が問題視するのは「該当しない例」だ。

 それによると「遅刻や服装の乱れなど、社会的ルールやマナーを欠いた言動があり、再三注意しても改善されない場合に強く注意する」「経営上の理由により、一時的に能力に見合わない簡易な業務につかせること」などはパワハラにはならないという。

 日本労働弁護団は21日に発表した声明で、これらの「該当しない例」について「幅のある解釈が可能で、状況によってはパワハラに該当する可能性がある」と指摘。「『(企業など)使用者の弁解カタログ』ともいうべき不適当な例示」などとして削除を求めている。

 また、パワハラ関連法は、パワハラについて①優越的な関係を背景に②業務上必要かつ相当な範囲を超え③労働者の就業環境が害される言動――と定義するが、今回の指針案は、この「優越的な関係」を「抵抗又は拒絶することができない蓋然(がいぜん)性が高い関係」であると定義している。

 労働弁護団によると、パワハラ関連法の「優越的な関係」は、仕事上の地位だけではなく、仕事の経験や人間関係での差も含まれ、同僚間や部下から上司への行為もパワハラと認められうると解釈されてきた。

 しかし、今回指針案が示した定義では、従来より狭い関係性でし…

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中川聡子

2006年入社。千葉支局、東京・社会部、生活報道部を経て、統合デジタル取材センター。性差別を追った年間連載「ガラスの天井」取材班として、16年貧困ジャーナリズム賞。19年にも「児童扶養手当の資格確認を巡るスクープ報道」で同賞を受けた。ジェンダーや家族、格差に関わる問題を中心に取材している。

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