毎日新聞
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特定外来生物「ヒアリ」の大規模な集団が東京・青海ふ頭で見つかった。今回の事例は国内での定着が危惧される。手遅れにならないよう、いっそうの警戒が必要だ。
ヒアリは南米原産で、刺されるとやけどをしたように痛む。海外ではアレルギー反応による死亡例もある。繁殖力が強く、貨物に紛れ込んで北米、オーストラリア、アジアへと生息域を拡大した。
中国や台湾では既に定着している。同地域からの輸入が多い日本にとって、ヒアリ侵入は避けられない。
日本での初確認は2年前、兵庫県尼崎市で中国発のコンテナから500匹以上が発見された。現時点で14都道府県45例に上る。環境省はそのつど駆除しつつ、輸入貨物が集まる全国の65港湾を定期的に調査しており、今回の事例もその過程で明らかになった。
舗装の割れ目に作った巣から、繁殖能力のある女王アリが50匹以上、働きアリが約750匹確認された。女王アリは羽を持っていた。一部が卵を抱いて飛び立ち、新たな巣を作った可能性がある。政府は1例目以来となる関係閣僚会議を開き、省庁を超えた対処を確認した。
これまでの事例は一般の人が立ち入らない港湾施設などに限られ、市民が刺される被害も出ていない。だが、知らない間に周辺の公園や商業施設、居住地域などに移動していないとも限らない。
唯一の対策は、ヒアリや巣を見つけたら、なるべく早く的確に駆除することだ。港湾関係者が日ごろから目を配り、専門家と連携して水際対策を地道に続けることが重要だ。
私たちも過剰に恐れる必要はないが、ヒアリの外見上の特徴や生態、危険性を知っておきたい。見慣れないアリを見つけたら、相談ダイヤルに通報する方法もある。
ヒアリの定着による影響は、人を刺すことや生態系だけにとどまらない。農作物を食い荒らす、電線をかじるなど被害は広範囲に及ぶ。定着した米国では、駆除を含む対策費用が年間1兆円以上に膨らんでいる。
物流がグローバル化する中、日本は食糧や物資を海外に頼らざるをえない。中国から荷出しをする時点での駆除など、国境を超えた連携も徹底してほしい。
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