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台風19号 災害ごみ、市民苦悩 市の仮置き場遠く、公園や畑に満載 長野

公園の敷地内に運ばれ、積み上げられた大量の災害ごみ=長野市の赤沼公園で2019年10月26日、滝川大貴撮影

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 台風19号の豪雨で浸水した家から、使えなくなった家具や生活用品などの「災害ごみ」が大量に生まれている。千曲川の堤防決壊などで約5000棟が浸水した長野市は災害ごみの仮置き場を開設したものの、決壊で被害が出た地域から遠いなど使い勝手が悪く、近くの公園や畑が臨時の集積所になっている。【山下貴史】

 26、27日に決壊現場から約1キロ北にあるリンゴ畑に囲まれた同市赤沼の赤沼公園(約2ヘクタール)を訪れると、軽トラックが列をなし、泥で汚れた布団や畳などを次々と捨てていた。市が設けた仮置き場が使いにくく、自治会が苦肉の策で臨時の集積所にしている。市が仮置き場として公式に認めていない同様の臨時集積所は、決壊現場の周辺だけで少なくとも三十数カ所あるという。

 公園のバスケットボールコートには約3メートルのゴールの高さを超えるごみが積まれ、割れたガラス戸や消火器、スプレー缶もあった。近くの60代男性は「農薬入りの瓶や油を抜いていない農機具もある。冷蔵庫の中身は腐っているし、もう鼻がまひしたよ」と嘆いた。

 市は災害ごみの仮置き場を3カ所設けて不燃物、金属くずなど9種類の分別を求めたが、一部は満杯になり、23日に新設した仮置き場も決壊した地域から約10キロ離れている。車の渋滞もあり、運び込むのに時間が取られてしまうという。赤沼公園に来た兼業農家の会社員、深瀬純さん(37)は収穫するリンゴを入れるはずだった汚れた木箱を数百個捨てた。「家も周りもめちゃくちゃ。市指定の仮置き場ならもっと近くにほしい」と語った。

 穂保(ほやす)地区に住む金沢勉さん(62)はリンゴの木がなぎ倒された畑を臨時の集積所として提供している。「みんな困っている。お互い様だ」。市の仮置き場が遠いことには「往復したら半日潰れる。それじゃ復興は進まない」と改善を訴えた。

 市廃棄物対策課は「『分別が難しい』という声はよく聞くが、分別すると焼却施設などに搬出する時に素早く対応できる。軽トラックがない場合はボランティアにお願いしてほしい」と理解を求める。26、27日には臨時の集積所のごみを赤沼公園などにいったん集めた上で、自衛隊が夜通しで市の仮置き場に搬出するなど事態を打開しようとしている。

処理完了に2年以上

 台風19号で生じた災害ごみについて、環境省は浸水地区の住宅数などから、昨年7月の西日本豪雨の約190万トンを上回る数百万トンの発生を見込む。小泉進次郎環境相は25日の閣議後記者会見で、年内をめどに「仮置き場」からごみの搬出を終わらせる方針を示した。

 ただ、処理完了には2年以上かかる見通しで、長期間の対応が必要となる。焼却炉が浸水で稼働停止するなどして処理能力を超えるごみが発生している自治体もあり、環境省は他の自治体がごみを受け入れる広域処理の調整を進めている。

 廃棄物処理法では災害ごみを家庭ごみと同じ一般廃棄物として扱うと規定し、市区町村が処理の責任を負う。大量に出るごみを効率的に処理するため、地域ごとに各家庭からごみを運び込む仮置き場を開設。ここで「可燃ごみ」「廃家電」「コンクリート片」など十数種類に分別し、破砕などの中間処理をした後に焼却や最終処分場で埋め立て処分される。

 約3000万トンもの災害ごみが発生した東日本大震災を教訓に、国は自治体に災害時に見込まれるごみの量を推定し、仮置き場の候補地などを定めた「災害廃棄物処理計画」を作るよう求めているが、策定した市区町村は18年3月末現在で全体の27%にとどまる。

 自治体職員に専門的な知識がないことなどが計画作りが進まない要因とされる。環境省は、分別など初動対応手順をまとめた手引を、今年度中に策定する。【鈴木理之】

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