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キャンパスNOW

大学受験2020(1)共通テスト控え 受験生の安全志向強まる

学生から胴上げされる大阪市立大の合格者=大阪市住吉区の大阪市立大杉本キャンパスで、加藤佑輔撮影

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学生に胴上げで祝福される受験生=福岡市西区で2019年3月8日、森園道子撮影
東大の合格発表で=東京都文京区で2019年3月10日、武市公孝撮影

 現行の大学入試センター試験は2020年1月で終了し、21年から大学入学共通テストに衣替えする。高大接続教育改革が進み、大学入試制度は大きな変革期を迎えている。そうした中で、今の制度での受験が最後となる現在の高校3年生には、「浪人はできない」という気持ちが強く働いているようだ。20年春の入試戦線はどうなるのか。さまざまな角度から展望してみた。【中根正義】

    センター試験最後 浪人回避で中堅校以下の志願者増続く

     受験生の安全志向は数年前から働いている。駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一さんは「今年春の入試では、難関大の志願者が軒並み減り、中堅以下の大学の志願者が増えた」と説明する。

     私立難関大である「MARCH」(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)や「関関同立」(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)では定員充足率が100%を割った大学もあった。これらの大学の中には3月末ぎりぎりまで補欠合格者を発表したところもあるなど、数年前なら考えられないような混乱が起きていた。

     これは、文部科学省による入学定員管理の厳格化による影響が大きい。大都市部の大学への学生集中是正を目的に16年度から行われ、各大学の入学定員とほぼ同じ人数の学生を入学させるよう、文科省が求めたことがきっかけだった。数年で、およそ25%も合格者を絞った難関私立大もあり、首都圏や関西圏の難関私立大で不合格となる受験生が続出した。

     その結果、「浪人は回避したい」という受験生心理が、中堅以下の大学の志願者増につながり、その余波は専門学校への進学率アップという形にもなって表れている。だが、大学通信常務取締役の安田賢治さんは「定員管理の厳格化による難関私立大の合格者絞り込みも一段落し、浪人生も減っていることから、20年の入試は現役生にはチャンスだ」と指摘する。

     とはいえ、現高校3年生にとってはセンター試験受験は最初で最後となる。21年1月からの共通テストについては、未確定な要素も多く、「浪人は避けたい」という心理はこれまで以上に強まっている。石原さんは「模試動向を見る限りでは、19年春同様、強気な志望とは言えない。早稲田大、慶応大、上智大、MARCH、関関同立といった難関校は志望者が増えていない。逆に中堅以下の大学に多くの受験生が集まっており、最終的に見ても、安全志向の強い入試になるだろう」と予想する。

    データサイエンス系人気

     そのような中で、人気があるのは「グローバル」「情報」「データサイエンス」などの学部系統を持つ大学だ。データサイエンス学部を設置し、「MUSYC」と呼ばれる武蔵野大、滋賀大、横浜市立大などは人気が高い。さらに、近接分野の学科をグルーピングした「学門」別募集を再編する慶応大理工学部で「情報・数学・データサイエンス分野」を学べる「学門C」も高い人気を集めそうだ。

     専修大商学部の神田キャンパスへの移転や、21年に「みなとみらいキャンパス」を新設する神奈川大など、都心キャンパスを新たに開設する動きは、今後も継続しそうだ。

     今年春まで志願者を7年連続で伸ばしている摂南大は、農学部を新設する。関西の私立大では、農学部の設置は近畿大、龍谷大に続くものだけに注目を集めている。

     このほか、首都圏の私立理工系大である東京理科大、芝浦工業大、東京電機大、工学院大、千葉工業大あたりの志願者も増えそうだ。

     ところで、今年の入試では、女子大が人気だった。中でもグローバル系や国際系などビジネスと結びつきの強い学部がある大学に志願者が集まった。駿台の石原さんは「この傾向は20年春の入試でも継続しそうだ」と話す。

     女子大人気は国公立大のお茶の水女子大にも波及しており、模試でも志望者が増えているという。また、国立大のトピックスといえば、長崎大が九州地区で初となるデータサイエンス系の情報データ科学部を新設することだろう。

     さらに、宇都宮大と群馬大の教育学部(教員養成課程)が「共同教育学部」を設置する。少子化が進む中、近隣の国立大が共同で教員養成課程を運営するという方式は、今後、全国に広がるとみられている。

     公立大では、首都大学東京が東京都立大という旧称に名称を戻す。同大はここ数年、さまざまな改革に取り組んできた。名称を首都・東京の公立大であると明確化したことで、人気がさらにアップしそうだ。

    2020年度入試 学部系統別志願者指数

    国公立大志望は減少傾向

     今年の受験生の学部系統別志望動向はどうなっているのか。駿台予備学校の模試データを見てみると、前年の募集人員を100とした場合、国公立大は総じて減少傾向にある。

     21年1月より、現行のセンター試験から共通テストに変わることもあり、「浪人は避けたほうがいい」という受験生の心理が色濃く反映されている。多くの予備校関係者は「21年からの共通テストでは、国立大志望者が激減する恐れもある。新しいテストに向けた準備が遅れており、受験生や保護者の不安が払拭(ふっしょく)されていないからだ」と指摘している。

     一方、私立大はどうか。ここ数年、人気だった文系学部、中でも経済・経営・商学系は人気が上がり過ぎた反動が起きている。グラフからは読み取りにくいが、理工系学部の動向を詳しくみると、情報科学、情報工学といった情報系を志願する受験生の伸びが顕著だという。さらに、文理両面の学際的な学びが特徴のデータサイエンス系の人気が非常に高まっている。

     医薬系は一時期ほどの人気はない。近年指摘されている勤務医の厳しい労働環境も、受験生に敬遠される要因の一つとなっている。理工系学生の就職が好調で、優秀な受験生が難関の医薬系を避けて理工系に流れていることも影響している。

     そうした中、歯学部系は優秀な女子の受験生が増えて人気だ。歯科医は予約診療が基本で、出産や育児を抱える女性が、家庭と仕事を両立しやすいことも要因に挙げられよう。

     農・水産系、生命科学系は人気が低迷している。かつてはゲノム解析やバイオテクノロジーが注目されたが、最近の話題は今一つ。スポーツ・健康系も五輪やパラリンピックの誘致で盛り上がった頃と比べると人気が落ちている。

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