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社説

英語民間試験の延期 遅すぎた判断の罪は重い

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 迷走の末、追い込まれての転換である。来年度から始まる大学入学共通テストで予定されていた英語民間検定試験の導入が延期となった。

 萩生田光一文部科学相が「身の丈に合わせて勝負してもらえれば」と発言したことで、批判が一気に強まっていた。

 きのうの記者会見で萩生田氏は経済事情や居住地によって生じる格差に触れ、「自信を持って受験生にお勧めできるシステムになっていない」と制度の不備を認めた。来春までに格差が解消される見通しが立っていない以上、延期は当然だ。

 民間試験活用制度を巡っては、格差の問題に加え、想定される対象者や難易度の違う7種類の試験の結果を公平に評価するのは難しいという問題点もあった。入試の公正さを保つ上で、大きな欠陥のある制度だ。

 このため、危機感を抱いた全国高校長協会は今年9月、導入の延期を文科省に要請した。それでも、同省は聞き入れず、あくまで来年度からの実施を強行しようとした。

 ところが「身の丈」発言が批判を浴びると、今度はあっさりと方針を覆した。

 発言に対しては野党が国会で追及し、与党内からも疑問の声が上がっていた。今回の延期は、教育の機会均等や受験生に配慮した措置というより、政権への批判や世論の逆風をかわす思惑からだろう。

 実施を目前にしての遅すぎた延期決定による混乱は避けられない。受験生はすでに実施を前提に準備を始めていた。検定団体も会場の確保などを進めていた。強引に制度を推進してきた文科省と歴代の文科相の責任は重い。

 「身の丈」発言により、教育の機会均等に対する無理解を露呈した萩生田氏の担当閣僚としての適性にも疑問がある。

 同省は今後1年間をめどに制度を見直し、2024年度の入試で「読む・聞く・話す・書く」の英語の4技能を測る新制度の導入を目指す。

 入試は全国一律に公平に実施されねばならない。採算を度外視できない民間団体に任せようとしたことにそもそも無理があったのではないか。政府は制度を白紙に戻し、受験生本位の制度の構築に向けて一から議論し直さなければならない。

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