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余録

カネは小説の題材になってきた…

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 カネは小説の題材になってきた。明治時代の尾崎紅葉(おざき・こうよう)作「金色夜叉(こんじきやしゃ)」もその一つ。婚約者のお宮が富豪に嫁いだことを恨んだ貫一は復讐(ふくしゅう)のため高利貸しになる。カネと人情が絡み、物語は一筋縄ではいかない▲金色夜叉には高利貸しの隠語が出てくる。同じ発音の「氷菓子」で「アイス(クリーム)」。隠語を使うのは人を借金漬けにする後ろめたさからか。だがこちらには感じられない。2020年度予算は19年度に続き、総額100兆円を超える見通しだ。国の借金は増え続けるのに▲海外のこんなジョークがある。酒場の入り口に「お代はあなたのお孫さんにツケられます」という張り紙があった。ただで飲めると思って喜んだ客に店は代金を要求する。「あなたのおじいさまの分を払っていただきます」。後世にツケを回すことへの戒めだ▲そうならないように引き上げられたのが消費税だ。だが景気を下支えするために政府が予算を組んで導入したポイント還元は利用者が想定以上に多く、追加の予算が必要になるかもしれない。さらなる景気対策も取りざたされている。何のための増税なのかわからなくなる▲借金を顧みず、国の体裁を繕い続ければ早晩行き詰まる。金色夜叉にも「紳士が高利(アイス)を借りて、栄(えい)と為(す)るに足れりと謂(い)ふに至っては……」と嘆くセリフがある▲政府は国民生活の将来像をどう描くのか。その筋書きを国民にしっかり示す義務がある。小説の世界ならカネをめぐる波瀾(はらん)万丈の物語も楽しめるけれど。

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