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ラグビーW杯閉幕 熱気のスクラム続けよう

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 国内12会場を舞台に44日間に及ぶ熱戦を繰り広げたラグビー・ワールドカップ(W杯)が幕を閉じた。アジアでは初開催だったが、国境を超えて世界の人々が交流するスポーツの価値を再認識させてくれた。

 ラグビー人気が高い欧州と南半球以外では初めての大会とあって、当初は集客面の心配もあった。しかし、ベスト8に初進出した日本代表の活躍が大会の注目度を押し上げ、外国勢の戦いにも関心が集まった。

 ファンの間では「スクラムユニゾン」という活動が話題になった。元日本代表主将の広瀬俊朗さんらが呼び掛け、出場20カ国・地域の国歌や伝統歌を覚える取り組みがインターネットを通じて広がった。

 日本と対戦したスコットランドは、英国を構成する北部の地域で、「スコットランドの花」という愛唱歌が国歌代わりだ。それを日本のファンがスコットランドの人たちと肩を組んで合唱する姿は、敵味方ない「ノーサイド」の精神を表していた。

 外国の選手たちも地元との交流を大切にした。台風19号が襲った岩手県釜石市でのことだ。カナダ―ナミビア戦が中止となると、カナダの選手たちはボランティアとして泥まみれになって復旧作業を手伝い、ナミビアの選手も同県宮古市で「地元の人を勇気づけたい」と市民との交流イベントを開催した。

 事前キャンプ地での交流もあった。ニュージーランド代表が滞在した千葉県柏市では、屈強な選手たちが試合前に見せる伝統の踊り「ハカ」を子供たちが覚え、歓迎イベントで披露した。大会公式ツイッターがこれを世界に向けて紹介したほどだ。

 何よりグローバル化を印象づけたのは日本代表だった。日本国内で長くプレーする選手たちが国籍に関係なくチームを構成し、私たちは代表の戦いぶりに胸を躍らせた。その姿は、さまざまなルーツを持つ人々が暮らす現代社会の鏡のようだった。

 熱気が一過性のものに終わらぬよう、日本のラグビー界は「スクラム」を組んで普及の努力を続けてほしい。プロリーグ構想もある。日本代表の強化ももちろん大切だ。その一方で競技人口は減り続けている。

 次代を担う子供たちの環境にもしっかりと目を向け、ラグビー文化を根付かせてもらいたい。

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