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中村桂子・評 『タネの未来 僕が15歳でタネの会社を起業したわけ』=小林宙・著

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 (家の光協会・1760円)

農業への危機感と希望と

 「タネの話をするから聞いてほしい――。」「そうと聞いて大喜びで前のめり気味に話を聞きたがる人は、日本中探してもほとんどいないだろう……ということは、一応、自分でも分かっているつもりだ。」

 このように始まる本書。著者は、中学三年生でタネに関する会社をつくり、高校二年生の今は、大学受験を気にしながらも「学業以外の時間をすべてタネにつぎ込んでいる」。その思いを語ろうというのだから、ここはじっくり聞こうじゃないか。一人の大人としてそう思う。

 小さい頃から公園でドングリや松ぼっくりを集めることが大好きだった著者は、小学校でのアサガオ栽培でのタネ採りに始まり、植物を育てることに熱中する。そのうち、タネから野菜を育てたいと思うようになり、野菜栽培に関する本を片っ端から読んでいく。対象はいつか古書にまで広がり、昭和初期の「農業」の教科書に、すでに栽培されなくなっている国産種を見つけ、これを育てたくなる。

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