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先の見えない不安な世の中で、熱い視線を集める人がいる。「日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一(1840~1931年)だ。一般的な知名度は高くないが、2024年度発行の新1万円札の肖像に選ばれ、再来年のNHK大河ドラマで取り上げられるなど、にわかに脚光を浴びている。その思想は海外でも注目されているという。今、渋沢が求められるのはなぜか。【宇田川恵】
「本当の経済活動は、社会のためになる道徳に基づかないと決して長く続かない」――。渋沢の生前の講演内容を収めた「論語と算盤(そろばん)」にそんな言葉がある。利益を得て豊かになることは決して間違いではない。だが、倫理や道義を伴わない利益追求はあってはならない。このため、人はどう生きればよいかを説く中国の古典「論語」を実業(算盤)の世界に取り入れようとした。道徳と利潤を調和させようという「論語と算盤」…
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