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スミレの香り

/143 馳星周 画 田中靖夫

 

 十分ほどで浅間山荘に到着した。駐車場に停(と)まっているのはカングーだけだ。平日のこの時間では登山者もまだいない。

 浅間山荘に入って声をかけ、駐車場代金の五百円を支払った。

「他の登山者はあのカングーの人たちだけですか?」

 念のため、宿の男に確認を取った。

「ええ。今日はまだおひとりだけだと思いますよ。早いですからね。他の登山者が見えるのは八時を過ぎてからになると思います」

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