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余録

「私たちの子孫の環境は…

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 「私たちの子孫の環境は気温の上昇で快適になるだろう」。こう説いたのはトランプ米大統領ではない。19世紀末に人間の活動による地球の温暖化を最初に指摘したスウェーデンの科学者、アレニウスという▲彼は大気中の二酸化炭素濃度と気温上昇の関係について的確に予測した。だが二酸化炭素の増加のスピードは読み誤ったようで、数度の気温上昇には数千年がかかると考えた。そして北欧出身の彼は温暖化をむしろ歓迎したのである▲温暖化への楽観は他にもあって、アレニウスは二酸化炭素の多い金星表面は気温50度ほどの湿地と考えた。しかし後代の探査機の観測により金星は温室効果で500度超の灼(しゃく)熱(ねつ)の世界と分かる(石弘之(いし・ひろゆき)著「名作の中の地球環境史」)▲こちらの温暖化楽観論は出身地ゆえでなく、大統領選狙いの支持層へのアピールのようだ。トランプ米政権は地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を国連に通告した。トランプ氏にすれば、かねての公約の実行である▲187カ国・地域の協定から世界の二酸化炭素排出量の15%を占める米国が抜ければ、温暖化対策への影響が小さいわけがない。ただ実際に離脱するのは1年後の米大統領選翌日である。まさに地球温暖化の将来がかかる選挙となる▲温暖化を楽観する選挙民にも化石燃料頼りの自分たちの雇用などの事情はあろう。その政治利用をはかるトランプ氏には、地球規模の危機を警告する科学者らの声は本当にたわごととしか聞こえないのか。

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