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社説

米がパリ協定離脱通告 地球の危機を顧みぬ愚行

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 米トランプ政権が、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を国連に通告した。

     パリ協定は、先進国、途上国、新興国が利害を超えて温暖化対策に取り組むことをうたう。温室効果ガスの排出量が世界1位の中国と2位の米国が歩調を合わせ、発効を後押しした。来年は、各国の削減計画が始動する節目の年だ。

     そんな時期の米国の離脱は、パリ協定の理念である国際協調体制を揺るがし、温暖化対策に取り組む機運に冷や水を浴びせるものだ。

     トランプ大統領が離脱を表明したのは、パリ協定発効の7カ月後、大統領就任から5カ月後のことだった。支持基盤である石炭産業の利益を代弁するかのような姿勢は、国際的な批判を浴びた。

     表明から2年半の間にも、事態は深刻化している。温暖化が人々の衣食住を脅かしつつある。異常気象が日常化し、食糧難や住環境の悪化が原因で移住を強いられる「気候難民」も生まれている。

     温暖化リスクを重視する投資家たちは、対策に消極的な企業から資金を引き揚げ始めた。米国内でもグローバル企業を中心に対策に本腰を入れ、カリフォルニアなどのように独自の政策を打ち出す州も現れた。

     「脱・炭素社会」は、世界の潮流である。ニューヨークで今秋開かれた国連の気候行動サミットでは、77カ国が2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを表明した。グテレス事務総長は「気候変動に伴う危機を止めるのは我々の責務。行動のためのサミットだ」と呼びかけた。

     事態は一刻を争う。パリ協定は、産業革命以降の地球の気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えることを目指すが、気温は既に1度以上、上昇している。たとえパリ協定の目標が達成できたとしても、海面上昇や気候の極端化といった被害は避けられないとする予測もある。

     世界が切迫感を共有する中で、トランプ氏の振る舞いは、地球規模の危機に背を向ける愚行と言わざるを得ない。判断の可否は来年の大統領選でも問われることになろうが、その自己中心的な態度が、人類にとって深刻な結果を招く危険性を自覚すべきだ。

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