「おい、ベルリンの壁が崩壊したぞ」。1989年11月9日夜、当時23歳のイエンズ・イエシュケさん(53)の隠れ家に友人が訪れ、興奮気味にまくし立てた。テレビをつけ、食い入るようにニュースを見つめた。
独東部ザクセン州ゲルリッツ。この街で生まれ育ったイエシュケさんが、後に妻となる婚約者と共に屋根裏部屋に隠れて4日がたっていた。「社会主義」という名の旧東独の全体主義に嫌気がさし、4年前に豪州への出国を申請した。「そこから旧東独秘密警察(シュタージ)に監視されていたんだ」と振り返る。「壁崩壊は幸運だった」。ドイツに残ることを決めた。
壁が崩壊する前は製鉄所で働いていた。崩壊後は機械工、ウエーター、機械操作員など職を転々とした。「だまされて、どこでも長くは働けなかった」と多くは語らない。
この記事は有料記事です。
残り3444文字(全文3790文字)
毎時01分更新
河野太郎行政改革担当相が、新型コロナウイルスのワクチン接種…
日本医科大付属病院(東京都文京区)が、大学院生の医師に外来…
音楽演奏は楽器を使った「身体表現」である。中でも身体そのも…