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正殿下の世界遺産遺構も損傷か 全国から寄付4億円 首里城火災1週間

がれきの散乱する正殿前の御庭。中央は焼け残った龍柱=那覇市で(沖縄美ら島財団提供)

 那覇市の首里城で正殿など主要な施設が焼失した火災から7日で1週間となる。全焼した正殿の床下には世界遺産登録された首里城跡の遺構があったが、火災で遺構を覆うガラスが破損してがれきが入り込んでいたことが判明。文化庁が損傷状況を調査している。

 首里城公園を指定管理する「沖縄美(ちゅ)ら島財団」などは6日、公園内で記者会見し、建物や美術工芸品などの損害を70億円まで補償する火災保険に加入していたことを明らかにした。今回の火災で支払われる額については、保険会社と交渉するとした。

 再建に向けた支援の動きは拡大している。那覇市にはインターネット上のクラウドファンディングなどを中心に4億円弱の寄付が集まっている。沖縄県にも約2600万円の寄付の申し込みがあるほか、民間企業や市民の間でも募金への協力を呼び掛ける活動が広がっている。

 那覇市議会は6日、首里城の早期再建を求める意見書を可決。意見書は「首里城はウチナーンチュ(沖縄の人)の心のよりどころとなっており、観光客を集めるなど大きな役割も担っている」と指摘し、防火・防災に強い再建の基本計画を本土復帰から50年を迎える2022年までに策定することや、特別な財政措置の実施などを国に求めた。

 沖縄県の玉城(たまき)デニー知事も22年までに再建計画をまとめる方針を示しているが、再建には建築資材の調達や技術者の確保など多くの課題がある。【遠藤孝康】

出火原因は電気系統のトラブルが有力

 那覇市の首里城で正殿など7棟が焼失した火災で、市消防局は6日、出火原因は電気系統のトラブルが有力との見解を明らかにした。首里城には法律で求められる以上の消火設備がそろっていたにもかかわらず、火元とみられる正殿だけでなく、周囲の建物への延焼を食い止められなかった。7日で火災発生から1週間。文化財や復元施設の防火体制に課題を残した今回の火災を検証した。

 消防局などによると、火元とみられる正殿1階の北東部分で、分電盤がボックスに入った状態で見つかった。ボックス内部も黒く焼け焦げ、配線には断線した箇所もあった。これらの調査結果も踏まえ、消防局は6日、火災原因について「電気系統が有力だが、その他のあらゆる可能性を含め調査している」との経過報告を公表した。

国出先機関「基準を満たす消火設備設置」

 一方、同日には首里城を所有する国の出先機関の内閣府沖縄総合事務局が火災後初めて記者会見し、鈴木武彦・国営沖縄記念公園事務所長は「焼失した建物には法令上の基準を満たす消火設備があり、(それ以上の設備を)自主的に設置していた」と強調した。

 実際、消防法で設置が義務付けられた屋内消火栓は、3階建ての正殿の各階に2基設置していた。同様に設置義務のある消火器▽自動火災報知機▽屋外消火栓――も全て備えていた。建物周囲で水が噴き出す「ドレンチャー」と呼ばれる設備や、建物に向かって水を飛ばす放水銃は自主的に設置したものだった。

 夜間を想定した消防計画もあり、警備員が参加した消火訓練も毎年実施していた。市消防局の担当者は「法令上、不適切なところはなかった」と話す。それでも結果として被害の拡大を止められなかった以上、初動対応に問題がなかったか今後検証が必要だ。

正殿内の消火器使えず、熱で放水銃にも近づけず

 首里城を管理する沖縄美(ちゅ)ら島財団や消防局によると、正殿内のセンサーが熱を感知し、警報が鳴ったのは10月31日午前2時34分。警備員がすぐに正殿に駆けつけたが既に内部に煙が充満していたため、正殿内に12基あった消火器を使えず、事務所のある奉神門に消火器を取りに戻った。警備会社に連絡した上で、5分後、再び正殿に戻った時には既に激しい黒煙で消火作業はままならなかった。

 火災による熱で正殿周辺の屋外消火栓や放水銃にも近づけず、消防が到着するまで周囲の建物に燃え広がるのを止められなかったのも、消防計画の想定外だった。財団の花城良広理事長は「最大限努力した」としつつ「放水銃まで行けなかったのが問題だった」と振り返る。

 後藤治・工学院大理事長(文化財修復)は「建物内に煙が充満すれば屋内消火栓は使えなくなるし、屋外の消火設備は延焼防止が目的だ。首里城のような大規模な木造建築では火の回りが早く、早期発見と初期消火が何より重要になる。全国の類似施設でも、屋内出火のリスクを踏まえた対応を…

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