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不遇の元巨人ドラフト1位投手が「華麗な転身」で行き着いた虚飾の栄光

東郷証券が入っていた都心の高層ビル。林泰宏被告の職場だった=東京都港区で2019年10月31日午前10時51分、井川諒太郎撮影

 顧客の損失を補塡(ほてん)したなどとして金融商品取引法違反などに問われている中小証券会社「東郷証券」(東京都港区)の実質経営者、林泰宏被告(58)の初公判が7日、東京地裁で開かれる。プロ野球巨人からドラフト1位指名された経歴を持つが、1軍で登板することなく球界を去り、金融業界に身を転じて社長にまで上り詰めた末に逮捕された。異色の金融マンの「栄光」と「転落」を追った。【井川諒太郎】

 JR渋谷駅から歩くこと10分。芸能人も住むという高台に建つ高級低層マンションで、林被告は6月に逮捕されるまで暮らしていた。地元の不動産業者によると、狭い部屋でも約150平方メートルあり、中には家賃が月500万円を超える物件もあるという。周囲は高い草木で覆われ、外からは玄関をうかがうことさえできない。

 熊本県出身。兵庫県に移り住み、市立尼崎高に進学した。3年の夏は、140キロ台の速球が武器のエースで4番。学校初の甲子園を目指してチームを率い、大会をほぼ1人で投げ抜いた。決勝は0-1で惜敗したが、兵庫ナンバー1投手として騒がれた。同学年のチームメートは「野球部の柱。彼がいなければ準優勝はなかった。目立っていたが、偉ぶることもなかった」と振り返る。

 活躍はプロのスカウトの目に留まった。幼い頃から憧れていたという巨人から1979年にドラフト1位指名を受けた。同級生の男性は、ドラフト前日、教室で指名時のインタビューの受け答えの練習をしていた姿をよく覚えている。「授業を抜け出して遊びに行くやんちゃな面もあったが、普段は教室の後ろに座るタイプ。1位指名され、みんなに祝福されていた」

 だが、プロの世界は厳しかった。巨人は80年、長嶋茂雄監督が退団。翌年、藤田元司監督が就任し、投手4冠に輝いた江川卓投手や18勝を挙げた西本聖投手らを率いて日本一に輝いた。その厚い投手層に割って入るだけの力はなかった。「ランニングについていけない」「トレーニングがきつい」――。高校時代にバッテリーを組んだ同級生には、そう愚痴を漏らしていた。

 同時期に巨人の1軍で活躍した元プロ野球選手は「ドラフトの時に(林被告の)名前は聞いたが、それ以外は全然覚えていない」と話す。投球フォームをスリークオーターからアンダースローに変えて登板の機会をうかがったが、4年で退団。さらに2球団を渡り歩き、最後は肩を壊して85年に引退した。通算6年のプ…

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