- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

名画の中の人物や歴史上の著名人に扮(ふん)するセルフポートレート作品で知られる美術家、森村泰昌が、能の形式を引用した現代舞台劇「野生『能』2019:火魔我蹉鬼(Kamagasaki)、洲波羅(Suhara)、富久破裸(Fukuhara)」を、今月、神戸、京都で連続上演する。
森村が「下町とは何か?」をテーマに、京阪神の共同者と共に2017年から取り組んできた「下町物語プロジェクト」から生まれた舞台。能という言葉を用いてはいるが、森村は「洗練された伝統芸能としての能ではありません」と言う。「イマジネーションを武器に、妄想的なものとして、能の精神的な原型を求めました」。それが「野生」という言葉をつけた理由だ。能と同じ三間(約6メートル)四方の舞台を用い、能の鏡板の代わりにスクリーンを配置。台本は森村、演出は京都「THEATRE(シアター) E9(イーナイン) KYOTO」の芸術監督、あごうさとしが担当する。
引用したのは、神、霊、精など超現実的存在の主人公(シテ)が、名所旧跡を訪れた僧などの旅人(ワキ)の前に現れ、その地にまつわる物語や自分の身の上を語る「夢幻能」の形式だ。「この世に対するうらみつらみを持った亡霊が現れるのが面白い」。「野生『能』」では森村がワキの旅人に扮して登場し、関西3都の下町を巡っていく。
この記事は有料記事です。
残り693文字(全文1256文字)