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医療現場からプラネタリウムへ 福井県民に「宇宙愛」伝える 元看護師の女性

見張綾美さんらセーレンプラネットのスタッフたち=福井市中央1で2019年11月1日午後3時49分、大森治幸撮影

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 JR福井駅前の福井市自然史博物館分館(愛称・セーレンプラネット)に、異色の経歴を持つスタッフがいる。栃木県出身の元看護師、見張(みはり)綾美さん(28)だ。幼い頃の夢を追って医療現場から転身し、宇宙の魅力を広めている。県内では県民衛星プロジェクトが進むなど今、宇宙への関心がかつてないほど高い。その一翼を担う自負を胸に、見張さんは「ロマンにあふれた宇宙を多くの人に伝えたい」と満天の笑顔だ。【大森治幸】

 「神話によると、みずがめ座の水がめに入っているのはお酒だそうです。ならば『酒がめ座』と呼ぶ方がしっくりくる、と思うのは私だけでしょうか」

展示室で笑顔を見せる見張綾美さん=福井市中央1のセーレンプラネットで2019年11月1日午後3時59分、大森治幸撮影

 星空を映し出した直径17メートルのドームシアターに、見張さんの軽妙な語りが響く。その日の星空を解説する人気の投映プログラム「今夜の星空さんぽ」だ。

 「遠く離れたあの人も同じ星を見ている。そう思うと何だか明日も頑張れそうですね」。情感も込めた見張さんの解説を味わいながら、観客らは45分の「宇宙旅行」を終える。

 球体ドームが特徴のセーレンプラネット。見張さんはその指定管理を市から請け負うグループの構成企業「五藤光学研究所」(東京)の社員だ。

しし座流星群がきっかけ

 栃木県小山市で育った。幼い時、母親と家の前で寝転びながら「しし座流星群」を見た。「すーっと流れる緑色の光が本当にきれいだった」。以来、宇宙にのめり込んだ。

 図鑑や本を読みあさり、将来の夢を聞かれれば「宇宙飛行士か天文学者かプラネタリウムの係員」と答えた。「物心ついた時から毎日が星と共にあった」

 ただ、「手に職を」との両親の勧めで看護系の大学に進んだ。国家試験もパスして看護師になったものの、幼い頃の記憶が忘れられない。そっと夢を打ち明けた患者たちからは「夢があるのは良いことだよ」「頑張って」と背中を押された。

 生死に関わる現場で命の尊さを見つめたことも大きい。「一度きりの人生ならば本当に好きなことをしよう」。そう心に決めた。

 1年働いた後、非常勤の解説員として地元の科学館で2年間勤務。2016年4月からはセーレンプラネットで天文・宇宙の神秘を伝える日々だ。

 投映プログラムはスタッフのアドリブも多い分、力量も問われる。そこで経験豊富なスタッフにアドバイスを請うたり、録音した自分の話を聞いたりして腕を磨いた。「星空がきれいな郊外に夜中に自転車で繰り出して、練習もした」と笑う。

スタッフの解説が魅力

来館者からの質問に答える用紙。イラストも多彩で分かりやすい=福井市中央1のセーレンプラネットで2019年11月1日午後3時54分、大森治幸撮影

 現在は見張さんを含めた6人のスタッフが交代でガイドを務める。三者三様の多彩な語りが好評の理由だ。

 今夏からは来館者から寄せられた質問用紙に回答を書いて張り出すコーナーも始めた。「博物館を身近に感じてほしい」との見張さんのアイデアが基で、イラストも付けた解説からはスタッフたちの「宇宙愛」がにじむ。

 県内では6月に宇宙に関する国際会議が開かれたほか、県内企業が中心となった人工衛星プロジェクトも進む。打ち上げは来年で、10日には衛星の名前が発表される予定だ。

JR福井駅前のドームが目をひくセーレンプラネット=福井市中央1で2019年11月1日午後2時25分、大森治幸撮影

 「宇宙や天文への関心が高まっているのはうれしい」と見張さん。「宇宙のきらめきを子供から大人にまで広く伝えていき、地元からもっと愛される博物館にしたい」。挑戦の日々は続く。

音楽と共に味わうプログラム

 見張さんが企画・製作を手がけたプログラム「音楽の時間『世界星空めぐり』」が10月から始まった。日本だけではなく、南半球の国や地域から見える星空を現地にちなんだ音楽と共に味わえる。

 上映はおおむね隔週の金、土曜午後6時45分~午後7時半で、来春まで。11月は8、9、22、23日。料金は年齢や障害の有無によって無料~620円。常設展とのセット券もある。

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