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国会バリアフリーやっと一歩 れいわ舩後氏質問 世界で進む政治参加

参院文教科学委員会で初質問に臨み、文字盤を使い介助者らとともに次の質問の準備をする「れいわ新選組」の舩後靖彦氏=国会内で2019年11月7日午後4時52分、川田雅浩撮影

 夏の参院選でれいわ新選組から初当選した重度身体障害者の舩後(ふなご)靖彦氏(62)が7日、初めて参院文教科学委員会で質問し、国会のバリアフリー化は一歩前進した。同じく重度障害のある、れいわの木村英子氏(54)も今月5日に初質疑を行ったが、さまざまな課題も浮き彫りとなった。国会の動きは、自治体の障害者への就労支援のあり方にも影響を与えつつある。

 舩後氏の委員会での質問冒頭、大勢の報道陣と傍聴人が見守る中、委員会室に音声が流れた。「初めまして、れいわ新選組の舩後靖彦でございます」。難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)のため言葉を発することができない舩後氏は、パソコンに入力した文字情報を音声に変える機器を使用した。

 この機器の使用は先月28日、同委の理事懇談会で認められた対応の一つだ。車椅子の舩後氏は介助者と秘書を伴って臨んだ。秘書はあらかじめ用意した原稿を代読。41歳でALSを発症後、一時、医師に延命しないことを伝えるなど絶望しながらも、患者同士が支え合う「ピアサポート」の活動を通じた出会いにより、「生きたいという意志が湧き上がった」と自身の人生を振り返った。質問に入ると、萩生田光一文部科学相は「舩後氏の初めての質問に答えることを大変光栄に思う」と応じた。

 舩後氏は障害の有無にかかわらず一緒に学ぶ「インクルーシブ教育」に関する質問で、「以前の私のように障害のない多くの人は、障害者の日常や現実を知らないために、偏見や差別につながっていくのではないか」と指摘。「障害のない子どもにとってこそ、インクルーシブ(包括的)な保育・教育が必要だ」と問いかけると、萩生田氏は「障害がある子どものさまざまな学びの場のさらなる充実を図っていきたい」などと答弁した。

 舩後氏は今回、あらかじめ用意した質問のほかに、萩生田氏の答弁に対する追加質問も行ったが、十分な質問時間の確保と円滑な委員会運営の両立という課題が浮き彫りになった。ALS患者は全身の運動神経が侵され筋肉を動かせなくなるが、目はある程度動かせる。追加質問で舩後氏は、視線で指し示す文字盤を使って質問内容を代読する秘書に伝えた。これに時間を要し、9分超の中断が2度あった。その間、他の委員は舩後氏の発言をじっと待ち続けた。舩後氏の質問時間は減らないよう配慮されたものの、委員会の終了時刻は予定の午後5時から約20分ずれ込んだ。

 舩後氏は終了後、記者団に「20分も超過して迷惑をかけた。反省し、今後改善する」と謝罪した。与党筆頭理事の赤池誠章氏(自民)は「大臣を含めさまざまなスケジュールがある。(対応を)今後協議する」と述べ、今後も手探りの対応が続きそうだ。

 舩後氏とともにれいわで初当選した、脳性まひで重度身体障害者の木村氏も5日に参院国土交通委員会で質疑に臨んだ。この日の審議は5時間に及んだが、木村氏の質問順は最後だった。秘書の代読に頼らず約30分間、自身の声で質問したが、終了後、木村氏は「体力的に厳しい」と漏らしており、体力面の負担軽減が今後の課題となる。

 舩後、木村両氏の初当選により、国会ではこれまで想定していなかった議席の改修などのバリアフリー化が進み、その意義を評価する声は与野党問わず多い。

「ゆく川の 流れを変えて 新しき 海へと向かう 友らとともに」。委員会終了後、国会で新たな挑戦に踏み出した心境をしたためた舩後氏自作の短歌が、介助者によって読み上げられたが、その歩みは緒に就いたばかりだ。【古川宗、浜中慎哉】

障害者の政界進出や議会のバリアフリー化の取り組みは世界各国でも続いている。

 日本が議会制度の「お手本」とした英国では、障害を持つさまざまな議員が政治活動をしてきた。古くは、第一次大戦で失明したイアン・フレイザー氏(保守党)が上下両院で議員に。近年では、生まれつき目が見えないデビッド・ブランケット氏(労働党)が盲導犬の助けを借りて内相(2001~04年)など閣僚も務め…

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