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首里城3Dモデル再現へ みんなの写真求めます 東大研究者ら

インターネット上の写真をもとに作成した首里城の3Dモデル。プロジェクトで多くの画像を集め、より精緻なモデル作成を目指す=Team OUR Shurijo提供

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 あなたの写真やビデオで、沖縄の首里城を再現しませんか――。10月31日未明に火災で主要な建物が焼失した首里城(那覇市)を三次元(3D)モデルで復元するため、画像の提供を求めるプロジェクトを、文化財のデジタル保存などに詳しい東大大学院の研究者や学生たちが始めた。欧米の専門家とも連携し、100万枚の画像を集めて精巧なモデルの作成を目指す。【和田浩明/統合デジタル取材センター】

 3Dモデルはデジタル空間に再現した立体模型で、回転させて上下左右から見ることもできる。「みんなの首里城デジタル復元プロジェクト」(https://www.our-shurijo.org/)を主導するのは、東大大学院の川上玲特任講師(39)。「本体の再建には時間がかかると思うので、みなさんの気持ちがこもった画像をもとにしたモデルを提供したい」と意気込む。

国際会議で復元着想

首里城の3Dモデル化を進める東大の川上玲特任講師(右から2人目)、学生の五日市創さん(右端)、邵文さん(左から2人目)、木方夏麟さん(左端)=東京都文京区で2019年11月6日午後4時12分、和田浩明撮影

 川上さんは10月末、韓国・ソウルで開かれたコンピューターによる画像認識の国際会議に出席した際、首里城焼失のニュースに接した。子供たちが学校を休むなど地元が大きな衝撃を受けていることを知り「首里城のために自分は何ができるのか」と考えた。

 そして、同会議で過去10年間に大きな影響を与えたとして表彰された論文を活用することを着想。インターネット上の画像数十万枚を集約して、建造物や都市の3Dモデルを作成する技術に関する内容で、題名は「ローマを一日で建設する」だ。この技術で、世界遺産であるローマのコロッセオやクロアチアのドブロブニク旧市街などが3Dモデル化されている。

 川上さんは指導教官だった池内克史東大名誉教授のもとで、九州やカンボジア、イタリアなどの遺跡を3Dモデル化するため現地で計測作業を行っており、観光で首里城を訪れたこともある。

 「現地の人は身近な文化財に強い思いを抱いており、失われた時に強い喪失感を感じると想像できた」といい、首里城の3Dモデル作成は「研究時間を割いてもぜひやりたい」と感じたという。ツイッターで一緒にやろうと呼びかけると「いいね」が返ってきた。

ネット画像で一部復元

 ソウルからの帰国便で一緒だった池内さんに着想を説明すると、「やろう」と返事があった。帰国したのは10月31日夜だったが、学生にメールなどで参加を呼びかけ、手を挙げた一人にインターネット上にある首里城の画像収集などを依頼。翌11月1日朝には約350枚が集められ、同日中に第1次モデルが完成した。

 しかし川上さんは、首里城に強い気持ちを抱く人たちからさらに画像を集めたいと思っていた。「画像を提供してくれた方は、出来上がったものが現地で公開されれば、いずれ足を運んでくれるかもしれない」。幅広い人に呼びかけるため、ウェブサイトを作ることにした。

みんなの首里城デジタル復元プロジェクトのウェブサイト=Team OUR Shurijo提供

 提供者の年齢や国籍、性別、首里城の思い出やメッセージなども募集して、モデルに反映することにした。プライバシー保護の規約づくりなどで時間がかかり、本格始動は5日午後10時ごろ。ウェブサイトのオープンから12日までに1424人から1万4341枚が集まったという。

 紹介動画を作った東大学際情報学府修士1年の五日市創さん(24)は「すごいスピードだった。何かしたいという使命感だった」と振り返る。中国出身で情報理工学系研究科修士2年の邵文(しょうぶん)さん(24)は「自分の研究に近いところで役に立てるのはうれしかった」と話した。

 プロジェクトには22人が参加。スペインや米国、フランスの専門家も集まった。今年4月に火事で大損害を受けたパリ・ノートルダム寺院の3Dモデル作成に取り組むエキスパートもメンバーだ。

 川上さんは「出来上がったモデルやコンテンツは地元の高校生、大学生など、地域の方に何らかの形で提供したい」と話している。

和田浩明

1991年4月入社。英文毎日編集部、サイバー編集部、外信部、大阪社会部を経て2003年10月から08年3月までワシントン特派員。無差別発砲事件、インド洋大津波、イラク駐留米軍や大統領選挙を取材。09年4月からはカイロに勤務し、11年1月に始まった中東の民主化要求運動「アラブの春」をチュニジア、エジプト、リビア、シリア、イエメンで目撃した。東京での中東、米州担当デスク、2度目のワシントン特派員などを経て2019年5月から統合デジタル取材センター。日本社会と外国人住民やLGBTなどの今後に関心がある。

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