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スミレの香り

/145 馳星周 画 田中靖夫

 登りはじめたときには、吉澤祥子に追いつきすぎないように気をつけなければと思っていたのだが、登っても登っても彼女の背中は見えなかった。おそらくは、山に登り慣れている。戸崎と共に何度もこの道を登っているのかもしれない。

 登り続けていると全身が汗だくになってきた。ザックからタオルを引っ張り出し、顔や首筋の汗を拭ったが、とても追いつかない。カムイの息づかいも多少荒くなっていた。だが、カムイは元気いっぱいだ。筋肉の質が人間のそれとは違うのだ。

 わたしは恨めしげな視線を向けたが、カムイは素知らぬ顔だった。ときおり、一カ所に立ち止まってしつこく…

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