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「○○くんのママでは終わらない」 44歳で地元アイドルデビューのわけとは

最年長の新人として活躍する「帰ってきたキューピッドガールズ」の水沢有希さん=東京都墨田区で、米田堅持撮影

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 東京スカイツリーにほど近いキラキラ橘商店街(東京都墨田区)を中心に活動するローカルアイドル「帰ってきたキューピッドガールズ」(キューピッドガールズ)で、最高齢の新メンバーが活躍している。平均年齢を下げようと行われたオーディションに合格し、結果的に平均年齢を「爆上げ」することになった「水沢豆腐店・ホワイト水沢」こと水沢有希さん(44)だ。「自称35歳以下」の水沢さんがオーディションへ応募した動機やメンバーに選ばれた理由とは……。【米田堅持】

小学生に間違えられた経験を勝算に

パフォーマンスを披露する水沢有希さん(右端)ら「帰ってきたキューピッドガールズ」のメンバー=東京都墨田区で、米田堅持撮影

 水沢さんはウェブ広告の会社に勤めながら、夫と息子と3人で墨田区で暮らしている。40代に入ってからダンスを習い始め、「普通じゃないことをやりたい」と思っていた今年3月、キラキラ橘商店街でキューピッドガールズの谷口礼子さん(36)から、オーディションのチラシを受け取った。応募規定には35歳以下とあったが、リーダーの奥山静香さん(41)が「若く見えるし、自称で構わないから」と言っているのを耳にして応募する気になった。夫は「できるのか」と心配したが、水沢さんは「衣装を着ればできるよ」とオーディションに応募した。

 水沢さんには「勝算」があった。近所の神社のお祭りで、Tシャツ、短パン姿で歩いていると、見回りをしていた周辺地域の学校のPTAの人から「どこの小学校? 何年生?」と声をかけられたばかり。話してみると声をかけた人は水沢さんより、年下だったのだ。

若い人は、結婚、出産、育児で欠ける

最年長の新人として活躍する「帰ってきたキューピッドガールズ」の水沢有希さん(中央)=東京都墨田区で、米田堅持撮影

 キューピッドガールズが、オーディションをした理由は「人手不足」だ。2011年の結成当時、5人だったメンバーも産休や結婚に伴う引退が相次ぎ、最近では3人で行うステージが常態化し、メンバーでV字のフォーメーションを組むことすら困難となっていた。その3人のうちの1人も産休に入ることが決まり、ステージができなくなることを危惧していた。産休明けの別のメンバーが戻る予定はあったが、完全復帰にはまだ時間がかかるという事情もあった。

 奥山さんは「キューピッドガールズをアラサーに戻したいという人もいるけれど、リーダーとしては新メンバーはアラフォー世代をと考えていた」と明かす。「若い人だと、結婚、出産、育児というライフイベントに合わせて欠けてしまうし、若い人の夢をかなえることができるユニットじゃない。年齢を重ねて、ちょっと周りが見えてきた人の方が向いている。応募は3人だったので、年齢制限がなければ、もっと来たと思うが『自称』というのに引っかかるようなユーモアと度胸のある人がほしかった」とオーディションの背景を語る。

 キューピッドガールズは、墨田区に本拠を置く劇団「シアターキューブリック」の派生ユニットで、音声や舞台装置をはじめ、男性の劇団員がイベントではサポートやゲスト出演を行っている。劇団員の千田剛士さん(44)は、水沢さんについて「応募者がいないかもしれないと思っていたら、こういう人がほしいという要素がそろった逸材が来た」と笑顔を見せる。

「○○くんのママでは終わらない」

 週末にキラキラ橘商店街などでイベントを行っている。イベント終了後の食べ歩きでは早速、ファンに囲まれていた。趣味はスポーツ観戦で横浜DeNAファン、得意料理は子どもの好きなピーマンの肉詰め。子どもに影響されたわけではなく、鉄道やバスの時刻表が好きで、飛行機はエアバスA320がかわいいと語る意外な素顔も好評だ。

 水沢さんは、父親が舞踊家だが、自身が舞台に立つ経験はほぼ皆無だった。キューピッドガールズでも演劇経験などがない初めてのメンバーだが、奥山さんは「結成当時のメンバー以上によく動く」と、年上の新人に期待を寄せる。

最年長の新人として活躍する「帰ってきたキューピッドガールズ」の水沢有希さん=東京都墨田区で、米田堅持撮影

 もともと、キューピッドガールズは育児に追われて、女優として舞台に立てなかった奥山さんの「新たな舞台」でもあった。しかし、劇場と違って商店街のイベントは「見る気のない人に足を止めてもらう」という大きなハードルがあった。「うまくできること」よりも「失敗のリカバリー」のような予定調和ではない部分のほうが、共感されることを観客から教えられたという。

 そのためか、キューピッドガールズのイベントは、劇団の公演とは比較にならないくらいハプニングが多い。小道具や仕掛け、音声のトラブルはもちろん、「ママー」とセミの抜け殻を手に乱入した子どもの相手をしながら踊ることもある。

 出産後に仕事を辞めていた時期があった水沢さんは「○○くんのママになって、それで終わってしまうのか?」と思ったこともあったという。「自分の役割をやるので必死」と話しながら、見に来た人が元気になれるように「新たな舞台」に立ち続けている。

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