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社説

北陸新幹線120両廃車 人々の足守る水害対策を

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 気候変動の影響などで大規模な水害が頻発する中、新幹線の浸水対策が大きな課題に浮上している。

     JR東日本と西日本は、台風19号の大雨による長野・千曲川の堤防決壊で水につかった北陸新幹線の車両計120両を廃車にすると決めた。床下にあるモーターなどを制御する電気系統が被害を受けたためだ。

     損失額は計約148億円にのぼるという。JR東は「安全面から修理を断念した」と説明した。

     今回の一件は新幹線が浸水に脆弱(ぜいじゃく)であることを浮き彫りにした。長野県の車両基地はハザードマップで最大10メートル以上の「浸水想定区域」だった。2メートルの盛り土をしていたが、全く不十分だった。

     JR各社が緊急点検したところ、全国の新幹線車両基地の約6割が浸水想定区域にあると判明した。今後も大型台風や豪雨は襲ってくる。国土交通省は各社に新たな浸水対策を求めている。

     ただ、車両基地は広大な平地が必要で、高台への移転は容易ではない。盛り土や土地のかさ上げも限界がある。ハード面では対応し切れないのが実情だ。

     現実的なのは、水害が予想される際、事前に車両を移動させる方法だ。実際、栃木県にある東北新幹線の車両基地では、台風19号の上陸前に安全な場所に車両を移動させた。

     移動には運転士の手配や電気・信号の準備など手間と時間がかかる。台風が想定コースを外れれば、計画運休後の運行再開を遅らせるだけに終わりかねない。JR各社には「空振り」リスクを心配する声もある。

     しかし、大規模な水害の打撃は、比較にならないほど大きい。事前に移動させられず、全車両の約3分の1を失った北陸新幹線は台風から1カ月たった今も通常の8割程度の運行本数にとどまっている。

     ダイヤの全面復旧には今年度末までかかる見込みで、年末年始の混雑時や春の観光シーズンに十分な輸送力を確保できない懸念がある。

     都市と地方を結ぶ重要な足である新幹線が機能不全に陥れば、暮らしや経済活動への影響は甚大だ。

     JR各社は今回の新幹線浸水を教訓として、緊急時に車両を円滑に移動させられる実効性のある対策づくりを急ぐべきだ。

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