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齋藤芽生 密愛村Ⅲ 密輸される乙女たち 過去から紡ぐ世界

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齋藤芽生《密愛村Ⅲ「密輸される乙女たち」》2011年、60センチ×60センチ、個人蔵Photo (C)Ken Kato  Courtesy of gallery Art Unlimited
齋藤芽生《密愛村Ⅲ「密輸される乙女たち」》2011年、60センチ×60センチ、個人蔵Photo (C)Ken Kato Courtesy of gallery Art Unlimited

 不穏にして濃密。朽ちたモーテルや奇妙な事物が精緻に描かれた画面を見つめるうち、妖しい世界にからめ捕られそうな感覚を覚える――。画家、齋藤芽生さん(46)の代表作「密愛(みつあい)村」はそんな魅力を持つ絵画シリーズだ。

 「夜の車道の果ての歓楽地」をテーマに2010年から展開する。旅先で実際に目にした建物や光景に夢想を加えて絵画化してきた。先行作品は昭和歌謡曲の世界を思わせる「男女の道行き」が表出されたが、本展に登場するシリーズⅢは婚礼にまつわる不気味な物語が描かれる。

 「密輸される乙女たち」と題した本作は運搬用コンテナと古典的な「誰(た)が袖図」のように綱に掛けられた婚礼衣装、放置された花嫁のかつらがネオンの光に浮かぶ。コンテナに潜んでいたであろう女性たちは逃走したのか、姿が見えない。異質の物同士を組み合わせた画面はシュールな緊張感をはらむが、対岸に灯が瞬く夜の港は現実の光景と呼応する。

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