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東京へ ともに歩む

毎日新聞

高桑早生=前橋市の正田醤油スタジアム群馬で、久保玲撮影

パラアスリート交差点

陸上・高桑早生「その先へ」 健常者と真剣勝負できるハイレベルな競技に

 パラ陸上と健常者の陸上の試合を、同時開催する大規模な大会を実現できないかと、考えずにはいられません。オープン種目などで健常者の複数の大会に参加したのですが、競技力向上の面から見ても2020年東京五輪・パラリンピック後の未来に向けて、非常に有益だと思います。

     セイコー・ゴールデングランプリ大阪(5月)と日本選手権(6月、福岡)でオープン種目の混合400メートルリレー、織田幹雄記念国際大会(4月、広島)では女子走り幅跳び(義足T64)に出場しました。パラアスリートが参加できる健常者の大会は、16年リオデジャネイロ・パラリンピック以降、年々増えています。

     出場権を獲得すること自体が難しい健常者の大会に招待され、走らせてもらっているのが現状です。ただし将来的には、陸上ファンにオープン種目としてパラ陸上に親しんでもらうだけでなく、障害者と健常者のトップクラスのレースが同じ大会の中で、日程もずらすことなく開催されるのも良いのではと思います。

     20年の東京五輪・パラリンピックをきっかけに、そうした大会が創設されれば大きなレガシー(遺産)の一つになります。日本では健常者の陸上について、特に男子100メートルを中心に注目され、大勢の観客が集まります。その場でパラ陸上の真剣勝負に接してもらうことは意義深く、大規模な大会になり得ます。

     1大会に数種目であったとしても、パラ陸上と陸上は一緒に歴史を積み重ねてきました。そうした関係を生かし、パラと健常者のスポーツを融合するモデルケースになれる潜在的な力があります。他競技でも同じように考えている人がいるはずなので、ムーブメントを起こしたい。起こさなければならないと考えています。

     そのためには、パラ陸上の競技力向上が絶対的に必要です。特別な大会への激しい出場権争いが繰り広げられ、従来のパラ陸上ファン以外も引きつけ、納得してもらえるハイレベルな競技を見せなければなりません。受け入れてもらえるだけのパフォーマンスが課題となりますが、パラリンピックを目指す選手にとっては刺激的なことです。

     健常者とともに大会に出場することで、パラアスリートは五輪レベルのスピード感を身近に感じることができます。経験は貴重だし、もしかしたら力の差にショックを受けるかもしれません。しかし、パラリンピックではそのレベルに限りなく近い世界で戦う必要があります。緊張感や経験は重要です。一方で、健常者の選手が障害のある選手の工夫や技術を見ることも、決してマイナスではないと思います。

     20年東京大会に向け、パラスポーツを身近に感じてもらう機会が増え、認知度はかなり上がっている印象があります。その先への持続や更なる発展に向け、ステップを駆け上がっていかなければなりません。難しいけれど、不可能ではないと信じています。

    ラグビー・ワールドカップで日本が8強入りしましたが、どのように感じましたか。

     テレビ観戦し、はまりました。私はあまり流行に左右されないのですが、今回はきれいに乗りました。これまでは観戦する機会がありませんでしたが、今回は選手たちのノーサイド精神、日本代表の強じんな肉体や精神に感銘を受けました。日本の8強はトレーニングの質や量のたまもの。練習で不可能を可能にしました。

     1次リーグ最終戦のスコットランド戦の日は午後から練習だったのですが、キックオフに間に合うように帰宅しました。そんなことは初めてです。母は日本の決勝トーナメント進出を祝い、ラグビーボール形のパンを焼いていました。

    たかくわ・さき

     埼玉県熊谷市出身。小学6年で骨肉腫を発症し、中学1年で左脚膝下を切断した。慶大2年だった2012年、ロンドン・パラリンピックに初出場。15年世界選手権では走り幅跳びで銅メダルを獲得した。16年リオデジャネイロ・パラリンピックは同5位、100メートル8位、200メートル7位。NTT東日本所属。27歳。