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東京へ ともに歩む

毎日新聞

倉橋香衣さん(中央)=東京都品川区で、小川昌宏撮影

パラアスリート交差点

車いすラグビー・倉橋香衣「楽」 来年の「本番」は勝利の場面お見せしたい

 車いすラグビーの国際大会「ワールドチャレンジ」が10月に東京で行われ、日本は準決勝でオーストラリアに敗れて3位でした。コンディション不良のため私は出場できませんでしたが、プレーのみならず会場の雰囲気を味わうことができたのは、来年の東京パラリンピックに向けて貴重な経験となりそうです。

     出場チームの実力に差はなく、一つのミスが勝敗を分けます。完璧にプレーするために、個人もチームもディテール(詳細)を詰めなければなりません。昨年の世界選手権を制した日本にとって、3位の結果は満足できるものではありません。出場選手はもちろんのこと、敗戦を見守った私もめちゃくちゃ悔しかったです。

     あれほど多くのお客さんが来てくれる大会は、国内ではなかなかありません。声援は間違いなく力になりました。だからこそ、来年の「本番」では、私も日本代表の一員に名を連ね、しっかりと勝利の場面をお見せしたいと、気持ちを新たにしました。

     一方で、大歓声に加え、音響による演出もあり、独特の雰囲気の大会でした。コート内で選手が意思疎通を図りにくい場面もあったようです。課題になりましたが、東京パラリンピックで、そうした状況に初めて直面し、戸惑うという最悪の事態は免れました。私はコート外でしたが、雰囲気を知ることは良いトレーニングになりました。

     私のコンディションは上向きで、既にラグ車(競技用車いす)に乗ったトレーニングを再開しています。ワールドチャレンジで世界トップレベルのスピード感に触れ、たくさん練習しなければならないと改めて痛感しました。焦りは禁物ですが、日本選手権(12月20~22日・千葉ポートアリーナ)出場を目指しています。何としても、不可欠なピース(メンバー)と認めてもらい、ジャパンに復帰したいです。

     日本選手権でも、国際大会同様に多くの方に観戦に訪れてもらい、「スポーツとして面白い」と感じてくれる人が増えてほしいです。ワールドチャレンジの会場で、友人に連れられ「初めて観戦に来た」というお客さんとお会いしました。日本選手権の話をすると、「行こうかな」と前向きな返答をいただきました。少しずつでもいいから、そういった人が増えてほしい。国内の大会が盛り上がると、自然に私たちのモチベーションも上がります。

     反則など細かなルールが分からずに不安な人もいるかもしれませんが、全く問題ありません。一度、観戦してもらえたら、理屈抜きに魅力を感じてもらえると思います。ラグビー・ワールドカップも、そうだったでしょう?

    ラグビー・ワールドカップで日本が8強入りしましたが、どのように感じましたか。

     初めてラグビーを見ました。めっちゃおもろいやん。日本だけでなく、海外勢の試合も観戦しました。これほどまでにすごいプレーを人間ができるのかと驚きました。尊敬しています。

     試合を見るたびにプレーに対する理解が深まり、楽しさが増しました。テレビで見るために急いで帰宅したこともあります。なぜ、もっと前から見ていなかったのか。自分に疑問を抱きました。ハードワークを求められるラグビーに、とても刺激を受けています。

    くらはし・かえ

     神戸市出身。小学1年から高校までは体操に取り組み、文教大でトランポリンに転向。大学3年だった2011年、トランポリンの練習中に頸髄(けいずい)を損傷し、鎖骨から下の多くの機能を失った。15年から本格的に車いすラグビーを始め、18年世界選手権で日本の初優勝に貢献。29歳。