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経済対策取りまとめへ 景気よりも防災に重点を

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 政府が新たな経済対策の取りまとめに着手した。安倍晋三首相が指示したもので、自然災害と景気悪化に備えた対応が柱である。

 政府の支出は4兆円から5兆円規模に上るとの見方がある。来月中に策定し、今年度の補正予算案と来年度の当初予算案に盛り込むという。

 だが、1000兆円を超す借金を抱えているのに、景気対策と称して必要性の乏しい支出で予算を膨らませるのは禁物だ。効果的な防災事業に重点化することが必要だ。

 台風19号は広範囲に甚大な被害をもたらした。堤防強化など必要な対策はきちんと講じるべきだろう。

 ただ、与党では、国土強靱(きょうじん)化を旗印に公共事業の拡大を求める声も強まっている。景気対策の役割も持たせる狙いだ。だが、それでは不要不急の事業が紛れ込みかねない。しっかり精査すべきだ。

 防災以外の景気対策は、必要性に疑問を抱かせるものが多い。

 具体的な検討項目は、消費増税対策として行っているポイント還元の拡充や、中小企業支援、訪日客拡大に向けたインフラ整備などである。

 首相は対策の目的について、米中貿易戦争などを念頭に「海外発のリスクへの対応」と説明している。

 経済が悪化しないよう、目配りすることは大切だ。しかし、政府は「景気は緩やかに回復している」との認識を変えていない。増税の影響が限定的とみているからだ。それなのに対策を打つのは矛盾している。

 政府は既にポイント還元のほか、自動車や住宅を買う際の減税など、消費増税分を帳消しにするほどの対策を講じている。増税は本来、将来世代への無責任なつけ回しを減らすのが目的だ。これ以上の景気対策はつけをますます増やしてしまう。

 危機的な財政状況にもかかわらず、安倍政権は100兆円を突破する今年度当初予算を編成するなど歳出規模を膨張させてきた。

 財政出動は景気を一時的に刺激するだけで、借金を増やして終わる場合が多い。首相は3年前も世界経済の危機を強調し、大型対策に踏み切った。だが世界経済は危機に陥らず日本の財政はさらに悪化した。

 政府の借金は当時に比べ、もっと膨らんでいる。さらに大盤振る舞いする余裕はどこにもないはずだ。

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