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インスリン使わぬ1型糖尿病治療法 名大グループが発見 臨床応用へNPO資金提供

1型糖尿病のインスリンを使わない新治療法の研究について会見する、名古屋大総合保健体育科学センターの坂野僚一准教授(右から2人目)=名古屋市千種区の名古屋大で2019年11月12日午前11時、細川貴代撮影

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 名古屋大の研究グループが12日、「1型糖尿病」で、インスリンを使わない新たな治療法を発見したと発表した。マウスを使った実験で効果が確認され、今後は臨床応用に向けた研究を進める。研究には患者・家族らでつくるNPO法人「日本IDDMネットワーク」(佐賀市)が資金提供する。

 1型糖尿病は、膵臓(すいぞう)の細胞が自己免疫などによって壊れ、血糖値を下げるホルモンのインスリンが分泌されなくなる病気。国内の年間発症率は10万人当たり1~2人で、小児期に起こることが多い。生活習慣病として大人に多い「2型糖尿病」とは原因が異なる。

 治療は主にインスリンを使うが、患者は生涯にわたって毎日数回のインスリン投与を注射で行う必要があり、血糖値の乱高下に悩まされるなど、患者家族の精神的・経済的な負担は大きい。

 今回の研究では、医師で同大総合保健体育科学センターの坂野僚一准教授らのグループが、脳に作用して血糖値を下げることが知られているホルモン「レプチン」に着目した。1型糖尿病のマウスの脳にレプチンを直接投与すると、血糖値が下がる。だが、脳ではなく皮膚の下や鼻から注射やスプレーで投与すると、血糖値は下がるものの正常化はしない。坂野准教授らは研究の過程で、肥満に関する特定のたんぱく質「PTP1B」を欠損させたマウスを使った場合には、レプチンを皮下から投与しても血糖値が正常化することを発見した。

 今後は、1型糖尿病のマウスを使い、レプチンと、PTP1Bの働きを抑える「抗PTP1B」薬を組み合わせて投与することで、血糖値が正常化するかを調べる。詳細に検討し、2024年以降に新たな1型糖尿病治療法開発につなげたい考えだ。

 レプチンを使った治療法が実現すれば、患者は頻回の注射から解放され、インスリンのアレルギー反応や抗体発生時の代替治療法にもなると期待される。坂野准教授は「1型糖尿病にインスリン以外の新たな治療法が存在する可能性を提供できる。全力で取り組みたい」としている。

 同研究には、同NPOから5年間で1000万円の資金提供がある。資金は患者の寄付や、佐賀県の同NPO向けの「ふるさと納税」に集まった寄付金が財源だ。同大は既に治療法の特許を申請済みで、この特許使用料などで対価を得た場合に、提供された金額を上限に団体へ資金を返還する。【細川貴代】

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