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開沼 博・評『危機と人類』ジャレド・ダイアモンド/著

◆『危機と人類』上・下 ジャレド・ダイアモンド/著 小川敏子、川上純子/訳(日本経済新聞出版社/各税別1800円)

 危機は国家を壊すのか。さまざまな形、タイミングで国家は戦争や災厄に巻き込まれ、多くの犠牲者を出し人々を苦しめる。それがなくなることを希求して努力をしていたとしても。そこに起こる危機は一見、国家を壊す要因のように見えるし、実際に国家が壊れることもある。多くの人は「◯◯さえなければ」と、その危機がなかった反実仮想の過去を口にする。しかし、はたして危機についてその程度の理解でとどめてよいのだろうか。むしろ、国家は過去の危機の上にできているという視点を、明確にもつべきではないか。つまり、危機は国家を作ってきた重要な構成要素と見ることもできるだろう。危機に見舞われたことがなく、今後も見舞われそうにない国家などない。弱小国はもちろん、米国・ロシア・中国のような大国の強権的な振る舞いの端々には、常に自分たちが危機に見舞われることへの恐怖心が見え隠れする。

 危機は国家をつくる。いま存在する国家の基盤には過去の、そして未来に想定される危機への想像力が積み重なっている。例えば、関東大震災が首都・東京の都市インフラを築き上げ、それが競争力の源泉となり、オイルショックが日本の省エネ技術をはじめとする効率性の向上を強く促したように。

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