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混迷を深める世界情勢のなかで、とるべき針路は――。日本を代表する国際政治学者が交代で論じます。

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英のEU離脱と香港デモ 帰属めぐる人々の苦悩=政策研究大学院大学長・田中明彦

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香港大学でデモに参加する学生=6日、AP
香港大学でデモに参加する学生=6日、AP

 イギリスのEU離脱(BREXIT)問題と、香港で続く抗議行動は、それぞれ現代世界の困難を象徴する大問題である。いずれも、世界のなかで個人が帰属する存在とは何なのかを鋭く問い詰める問題だからである。2016年に行われた国民投票で、イギリス人の過半数は、EUに帰属し続けることは望まないとの投票を行った。香港で抗議デモに参加している人々は、今のままでは香港から自由が奪われてしまうと真剣に憂慮している。

 現代の世界において、個人は組織に帰属することによって生活している。会社や学校や市民団体や地方自治体などさまざまな帰属先がありうるが、そのなかで通常最も基本的と想定されるのは国である。世界が国際社会といわれることが多いのは、世界が国々から構成されていると見なされているからである。

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