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台風19号 吉田川堤防決壊 情報周知遅れた大崎市 大郷町の19分後 /宮城

13日午前7時55分撮影との記録が残る吉田川左岸堤防上から見た宮城県石巻市の志田谷地地区。住宅の1階に水が達し、ビニールハウスも半分以上が冠水している=読者撮影

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事実確認追われ「ロスタイム」 原稿、準備不足など 職員混乱

 台風19号による大雨で堤防が決壊した吉田川を巡り、大崎市と大郷町がほぼ同じ時刻に国土交通省の河川事務所から決壊を知らされたにもかかわらず、住民に伝えた時刻は、大崎市が大郷町より19分遅かった。一刻を争うはずの災害発生情報の伝達がなぜ遅れたのか、検証する。【山田研】

 13日午前7時50分、大郷町粕川の吉田川で左岸決壊を確認――。吉田川を管理する北上川下流河川事務所(石巻市)によると、この情報は同所長が午前7時55分から同8時までの間に、大郷町の田中学町長、大崎市の三保木悦幸副市長、伊藤康志市長の順に電話で伝えた。首長への「ホットライン」だ。

 三保木副市長によると、携帯電話で情報を受けたのは午前7時57分ごろ。13日未明から吉田川の堤防を見て回り、市鹿島台総合支所にいた。三保木副市長は目の前にいた熊谷裕樹支所長に「すぐ本庁(市防災安全課)に言って、防災無線を流してもらうように」と伝えたと証言する。

 ただ、記者が支所内の台風到来時の対応を記したホワイトボードを見ると、「AM8:15 大郷町粕川で吉田川堤防決壊」と書いてあった。熊谷支所長は取材に「市防災安全課に報告したという情報を支所内に伝達し、板書したのが午前8時15分。実際の連絡はもう少し早かった」と説明した。

 それでも副市長が電話を受けてから15分程度要したことになる。支所長は副市長から「すぐ」と求められたことについて、「そう言われた記憶もないわけではないが、いろいろなやりとりをしていたのでどういった伝達があったかよく覚えていない」と答えた。

 支所の「ロスタイム」について、市防災安全課の担当者は「事実確認に追われ、時間を要したことは否定できない」と話す。

 結局、大崎市は午前8時22分、鹿島台大迫地区の住民を対象にした行政防災無線と登録者向けのメールで情報を発信した。メールの文面は「鹿島台地域志田谷地において吉田川が決壊した」。

 実際に決壊したのは大郷町粕川であり、この内容は間違っていた。また、支所から市に連絡が来てから7分がたっていた。市防災安全課の担当者は「準備をしておらず、(連絡を受けた後に)無線アナウンス用と登録メール用の原稿を作っていた」と釈明する。

 さらに「(市内各地から)土のうを持ってきてくれと言われて人を出したり、先に起きていた(同市古川地区の)渋井川決壊に対応したりしていた時に、いきなり連絡が来た」と述べ、対応する職員が不足する中での混乱も背景として挙げた。

     ◇     ◇

 一方、大郷町では13日午前7時55分ごろ、田中町長と、北上川下流河川事務所から町役場に派遣された「リエゾン」に吉田川決壊の情報が伝えられた。リエゾンは災害発生の恐れがある自治体に派遣され、情報収集や支援ニーズを把握する職員。決壊情報は、東北地方整備局が粕川大橋上流の左岸に設置したライブカメラの映像を見ていた北上川下流河川事務所の職員からリエゾンに伝えられた。

 同町は8時3分、住民向けのエリアメールと防災無線で決壊情報を流した。町に情報がもたらされてから8分後だった。大崎市の熊谷支所長は「大郷町からのメールを見て吉田川が決壊したと判断した」と明かす。

 東北地方整備局によると、リエゾンは要請のあった自治体に派遣される。台風19号で12日夜からリエゾンが派遣されたのは吉田川流域の大郷町、大和町、大衡村。大崎市からは要請がなく、派遣されなかったという。

 大崎市の三保木副市長は住民への周知が大郷町より遅れたことについて、「まさに水が来る(決壊場所の)大郷町と徐々に来る所(大崎市)の感覚の差があったのかもしれないが、発信は早いに越したことはない。今後、見直しや検証が必要だ」と語る。


吉田川を巡る大崎市の対応

13日午前

7:50      北上川下流河川事務所の職員が大郷町・粕川大橋上流のカメラの映像から吉田川堤防の決壊を確認

7:55ごろ    大郷町、同事務所から派遣されたリエゾンと町長へのホットラインで決壊を伝えられる

7:57ごろ    大崎市副市長、同所長からのホットラインで決壊を伝えられる

8:03      大郷町が町民へ決壊情報をエリアメールと防災無線で発信

8:15より少し前 大崎市鹿島台総合支所から市防災安全課に決壊情報が伝達される

8:22      大崎市が鹿島台大迫地区の市民に「志田谷地で決壊」と防災無線と登録者へのメールで発信

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