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余録

「この者の功績をほめたたえよ。ふさわしい報酬を…

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 「この者の功績をほめたたえよ。ふさわしい報酬を与えよ。しかし、この責任重い地位にふさわしくないとなったら、絞首刑に処せ!」。昔のベネチア共和国の元首が「水の行政官」就任式で述べた言葉という▲水の行政官とは土木建設事業の責任者で、こと水の都ベネチアにとっては水を御するのが役目だった。かつての蛮族の襲来やフランク人の侵攻を、ラグーナと呼ばれる潟(かた)に囲まれた地に逃れることで防いだのがこの街の始まりである▲18世紀末の共和国の崩壊で物騒な就任式は消えた。塩野七生(しおの・ななみ)さんの「海の都の物語」は、おかげで今の街はよく浸水すると皮肉っている。そして今回は通常潮位を187センチ上回る観測史上2位の水位を記録してのベネチア水没である▲アクア・アルタとはこの季節、ベネチアに水害をもたらす異常潮位で、季節風や地形の影響という。しかし今回は歴史上初めて州議会にも浸水、サンマルコ広場は深さ1メートルもの水につかり、冠水時用の仮設歩道も使えぬ状況となった▲イタリア政府はベネチアの非常事態を宣言したが、さて現代の「水の行政官」は何をしていたのか。現地では大規模な可動式防潮壁を建設中というものの、汚職もからみ完成は遅れに遅れていた。加えてその有効性を問う声もあがる▲ベネチア市長は異常潮位は気候変動の影響だという見方を示した。一人二人の処罰ではしのげそうにない地球規模の海面上昇や異常気象である。その命運が人類全体の賢慮にかかる「水の都」の21世紀だ。

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