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社説

オオムラサキの急減 里山守る取り組みを皆で

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 里山にすむ国蝶(こくちょう)のオオムラサキが急減している。環境省などが全国約200カ所での定点調査の結果をまとめた。ノウサギやゲンジボタルなども年々減っている。絶滅危惧種指定に匹敵するペースだ。

 里山は都市と奥山の中間に位置し、周辺を含めると、国土面積の4割を占める。長年、人が暮らし、文化を継承してきた。林業や農業を通して自然に手を入れることで、人と自然が共生する景観が形作られた。

 そこにすむ身近な生き物の急減は、里山そのものの衰退も映し出す。

 大きな要因は過疎化だ。人口減と高齢化により、手入れが行き届かなくなった。雑木林に竹が生い茂ったり、木が茂って暗くなったりすると、樹液や下草などを餌にする昆虫が減る。水田が耕作放棄されれば、メダカやニホンアマガエルが消える。

 手つかずの自然に比べて保全の重要性が軽視されがちだが、調査では絶滅危惧種のチョウ類の38%、鳥類の29%もの種が確認された。一方、外来種のアライグマのほか、ニホンジカ、イノシシなどが増えていた。

 生物多様性への影響に加えて、生活環境の悪化にもつながりかねない。近年相次ぐクマの出没も、都市と奥山とを隔てる里山の役割が失われていることを示す。

 だが、減る一方の人口を呼び戻すのは容易ではない。内閣府の世論調査では、農山漁村に暮らす上での不便について「仕事」「交通」「商業・娯楽施設が少ない」との回答が3割を超えた。すぐに解決できる問題ではなく、残された住民だけで里山を守ることは困難だ。

 環境省は全国500カ所の「重要里地里山」を公表し、保全を呼びかける。ただし政策や資金の裏付けはなく、保全活動の多くはボランティアやNPO頼みなのが現状だ。

 そんな中、里山を愛する人々の存在は心強い。都市住民が里山に滞在し地元の人々と交流する「農泊」などの機会も増えている。定住しなくてもたびたび訪れるファンを増やす政策や、NPOへの財政支援も有効だろう。

 8月には、里山の棚田保全をうたう「棚田地域振興法」が施行された。日本の原風景ともいえる里山の保全に、省庁の壁を超えて知恵をしぼってほしい。

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