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Shall・we・バレエ?

生まれては飛び去る蝶々=斉藤希史子

宮本亜門演出「蝶々夫人」の幕切れ=東京二期会提供

 日本人の新演出による「蝶々(ちょうちょう)夫人」が今秋、東京文化会館などで相次ぎ上演された。熊川哲也が手掛けたKバレエカンパニーの舞台(表題は「マダム・バタフライ」)と、東京二期会の宮本亜門版オペラ。ともに設定は原典を踏襲しつつ、主人公の亡父または遺児の存在に光を当て、物語の時空を広げていた。

 舞台は長崎。没落士族の娘・蝶々さんは米国士官ピンカートンと結ばれるが、彼には伴侶がいた。幼い息子を恋敵に託し、死を選ぶヒロイン――。この本筋に新演出は、それぞれプロローグを加えている。熊川版は時を10年ほどさかのぼり、蝶々さんの父の切腹場面を挿入。娘は形見の小刀に導かれるようにして、同じ最期を遂げるのだ。

 言語を用いないバレエでは、一挙手一投足に万感が込められる。特に蝶々役においては、無言であることが最大限に生かされた。終幕、彼女は全てを胸に納めて息子を手放す。取り乱すことなく深々と頭を下げる矢内千夏の演技に、「声なき絶唱」がほとばしった。ギリシャ悲劇の王女メディアであれば、刃は己でなく我が子に向けたはず。苦難に満ちてはいても、この世は生きるに値する――。幼子に踏み出させた一歩が、蝶々さん自身の生…

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