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岡崎 武志・評『富士日記を読む』『潮待ちの宿』ほか

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今週の新刊

◆『富士日記を読む』中央公論新社・編(中公文庫/税別900円)

「日本語日記文学の頂点」「読んでいると金山を掘り当てたような気分になる」(阿部公彦)ほか、絶賛が集まる『富士日記を読む』(中央公論新社編)は、ファンがみな喝采の一冊だ。

 1964年から中断を挟んで約12年書き継がれた日記の書き手・武田百合子は作家・武田泰淳の妻。夏を中心に富士山麓(さんろく)の別荘で、夫に勧められてつけ始めた。泰淳の死後、発表されて世の人々の度肝を抜いた。あまりに素晴らしい。

 日々のできごと、食事、出会った人々のことがつづられるだけなのに、みな心をわしづかみにされた。「発想と感受と表現のあいだに絶妙なハーモニーが感じられた」(島尾敏雄)からだ。本書は水上勉、庄司薫、平松洋子、須賀敦子、木村衣有子などが、その読書体験を熱く語る。

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