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離島でなければ、裕福な家だったら…「身の丈」が奪う学びの機会

神津島で唯一の小学校である村立神津小学校。校庭には子供たちの元気な声が響いていた=東京都神津島村で2019年11月11日午前11時4分、大久保昂撮影

 「自分の身の丈に合わせて勝負してもらえれば」。2020年度から始まる大学入学共通テストで英語民間試験の導入が見送られたのは、萩生田光一文部科学相の一言がきっかけだった。教育行政のトップが経済事情や居住地による格差を容認するかのような発言をしたことで、激しい批判を浴びた。一連の騒動で改めて浮かび上がった教育格差の実態に触れようと、離島や一人親世帯などを訪ねた。【大久保昂】

 東京都心から約170キロ南西へ離れた伊豆諸島の東京都神津島村。人口約1900人の離島にとって今年度、ささやかな「快挙」があった。春の全国学力テストと都独自の学力テストの双方で、村立神津小学校の平均正答率が全教科で初めて都平均以上になったのだ。

 村内に学習塾はない。「学校の外で勉強する場がないことが、学力が伸びない要因ではないか」。危機感を強めた村教育委員会は7年前、村立図書館の一角で放課後の小学生たちに勉強を教える「しま小屋」を始めた。今年度まで2年間かけて、家庭学習にも使えるタブレット端末を3年生以上の児童に配った。村出身の清水末富教育長(61)は「機器は充実しているし、塾がなくても授業の改善で対応できる。島外の教育環境と比べても差はない」と強調する。

 学力向上策が成果を上げつつある一方、東京23区など島外への進学を目指すなら、経済的な負担がのしかかる。今回延期された民間試験の受験料は5000円台~2万5000円台で、都会に比べ受験生が少ない島内には試験場さえ設けられなかった可能性が高い。

 「島を出るのは一大事ですよ」。2年前に長女(17)が島外の高校への進学を目指したという女性(41)は苦笑した。

 東京都港区の竹芝ふ頭まで大型客船で8時間半、ジェット船でも3~4時間。日帰りで島に戻るのは難しい。島民には運賃の割引があるものの、最も安い席でも往復8000円ほどかかる。神津島空港を発着する飛行機を使えば45分に短縮できるが、往復2万円近くに跳ね上がる。天候不良の運休を見越し、前倒しで出発しなければならないこともある。

 学校説明会、受験日、合格発表――。長女に頼まれて毎回付き添い、ホテルに泊まった。気づけば、受験に要した費用は約80万円に上っていた。

 長女は結…

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