ローマ教皇訪日 環境保護も主要テーマに 石油業界に対策求める
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23日に来日するフランシスコ・ローマ教皇は2013年の就任以降、地球温暖化による気候変動問題への対策を熱心に訴えてきた。「すべてのいのちを守るため」と題した今回の日本での活動でも、環境保護が主要テーマの一つに位置づけられている。こうした教皇の姿勢の象徴が、15年6月に発表された「回勅」だ。
回勅は教皇が信者向けに発する最も重要な公的文書の一つ。そこで教皇は、気候変動と生態系の破壊が「深刻な結果を招きかねない」と警鐘を鳴らし、国際社会に迅速な取り組みを求めた。環境問題に特化した回勅はキリスト教カトリック教会史上初めてだった。
この年の12月、196カ国・地域が気候変動対策の国際的な枠組み「パリ協定」を採択。教皇による異例のメッセージは、規制のあり方を巡って対立していた先進国と途上国の歩み寄りを促し、この画期的合意の推進力になったと評価されている。
回勅には、一部の米保守系政治家らから「宗教がなすべきことは人々の生活を良くすることで、政治の領域に踏み込むべきではない」との反発もあった。だが、カトリックの総本山バチカン(ローマ教皇庁)のポール・リチャード・ギャラガー外務局長(外相に相当)は、今月11日の毎日新聞の取材にこう明言した。「教皇の意図は『回勅』の発表でパリ協定のプロセスに貢献することだった。一定の役割を果たしたことに教皇は満足している」
気候変動を巡る国際政治にあえて関わり、地球全体の危機に立ち向かおうとする教皇。しかし、その挑戦は水面下で、化石燃料業界からの圧力にもさらされてきた。気候変動の大きな原因は石油や石炭など化石燃料の大量消費だが、業界側にとって規制は死活問題となる。教皇と業界の知られざる攻防は、今も続いている。【ローマで賀有勇】
教皇の「回勅」、パリ協定を後押し
2015年4月、イタリア・ローマ。キリスト教カトリックの総本山バチカン(ローマ教皇庁)の目の前にあるホテル「パラッツォ・カルディナル・チェージ」で、あるシンポジウムが開かれていた。
「(フランシスコ)教皇に気候変動の危機は存在しないと真実を知らせよう」
こうスローガンを掲げ、会合を主催したのは…
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