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社説

厚生年金の対象拡大 環境整備と併せて着実に

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 年金制度改正をめぐり、厚生年金への加入を義務づける短時間労働者の範囲拡大が焦点となっている。

 厚生年金には原則、週30時間以上働く人が加入している。さらに2016年からは、従業員数が「501人以上」の企業では、週20時間以上働き、月収が8万8000円以上などの人も対象になった。

 厚生労働省は最終的には企業規模要件を撤廃すべきだとの立場だが、今回は「50人超」まで下げることを検討している。試算では、新たに加入対象となる人は約65万人だ。要件を撤廃した場合が125万人で、その半分程度にあたる。

 厚生年金に入れば、会社員の妻でパートをしている人は新たに保険料を負担しなければならないが、将来受け取る年金額が増える。

 独身で非正規の短時間雇用で働いているような場合は、保険料が全額自己負担から勤め先との折半になり、恩恵は大きい。

 年金財政からみれば、働き手が減少する中で、保険料を払う担い手を増やす効果がある。

 最大のネックは、保険料の半分を負担する企業側の理解だ。医療、介護保険分も含めると総額で年1590億円増える。短時間労働者1人あたり年約24万円となる計算だ。

 多くのパートを雇う外食産業や小売業界には、保険料負担の増加が経営を圧迫するとの懸念があり、大幅な対象拡大には抵抗感が根強い。

 消費税増税や最低賃金引き上げ、人手不足による人件費の増加など、経営を圧迫する要因がほかにも多いという事情はあるだろう。

 だが、同じ条件の短時間労働者でも、勤め先によって厚生年金に加入できるか否かが異なるままでは、老後の所得保障に差が出る。

 社会保障は、それぞれの企業の負担で支えられている。企業規模によって保険料負担が免除されたままでは、公平性に欠ける。

 関係団体からは、段階的な対象拡大や、生産性を上げて保険料負担の増加をカバーするための助成制度などを求める声が上がっている。

 中小企業の経営実態を把握したうえで、適切な支援策を講じることは必要だろう。政府全体で環境を整えながら、対象範囲の拡大を着実に進めるべきだ。

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