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目をそらさないで

私たちの目の前にありながら、見過ごされたり、放置されたりしてきた課題について、記者が東海地方の現場を歩きながら問題提起します。今回は「ダブルケア、その時」編。ご意見や情報をお寄せください。毎日新聞中部本社報道センター「目をそらさないで」取材班メール(c.reportage@mainichi.co.jp)

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「ダブルケア、その時」編/4 広がれ、おせっかい 「まちの保健室」注目

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親子連れが訪れる地域の子育て広場で、積極的にグループの輪に入る三永拡子さん(中央)=三重県名張市で、加藤沙波撮影
親子連れが訪れる地域の子育て広場で、積極的にグループの輪に入る三永拡子さん(中央)=三重県名張市で、加藤沙波撮影

 8月、三重県名張市にある地域の相談窓口「まちの保健室」を訪ねた。子育てと義母の介護などが重なって追い詰められ、3年前からこの保健室を頼りにしている主婦、中野実香さん(34)=仮名=に取材していた時のこと。にぎやかに動き回る小学生の息子2人を叱りながら、中野さんは「ちょっと愚痴を言っていいですか」と断り、同席していた職員の三永(みつなが)拡子さん(44)に話し始めた。久々に実家に帰った際に父の車の運転に不安を感じたという内容だった。

 地域の親子が集う「子育て広場」で三永さんに声をかけられたのをきっかけに、まちの保健室を訪ねるようになった。県外出身で当時は地域に友人がおらず、夫は仕事で多忙。「何もかもいっぱいいっぱいで、誰かに話を聞いてほしかった」と、何度もまちの保健室でさまざまな悩みを打ち明け、保健師や社会福祉協議会などを紹介してもらった。「ここがあったから救われた」。中野さんは繰り返した。三永さんは「ようやってたなあ」と、…

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