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高校1年生の春。学校から戻り自分の部屋に入ると、筒状のものがポンと1本、勉強机の上に置かれていた。広げると地形図。国土地理院が全国を網羅しているもので、手元のそれは2万5000分の1という登山に適した縮尺。タイトルは「大菩薩(ぼさつ)峠」だった。私が生まれて初めて手に取った地形図で、贈り主は父だった。
私は高校に入学するとすぐに山岳部の扉をたたいた。4月末の新入生歓迎山行の行き先が、大菩薩嶺だったのだ。山に登らない父が、登山には2万5000分の1の地形図が役立つとどこで知ったのか、分からない。
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